大会7日目、弱冠15歳と18歳のコンビが日本勢初のメダルを獲得した。
過去のオリンピックで日本が獲得したメダルは、スケート系、ノルディック系が大半で、それ以外はモーグルで里谷が金と銅、猪谷千春氏がアルペン(回転)で銀となっている。
ここで初めてスノーボード系競技でメダルを獲得出来たのは、将来の可能性を広げた点で極めて有意義な事である。
実際、過去のオリンピックでもこの競技に関してはメダル獲得の可能性が言われていた。
しかし、本人達には全く持って気の毒であったが、競技以外の事を必要以上に取り上げられ、実力を発揮することなく敗れてしまった歴史がある。
もちろん、それも含めてオリンピックで自己の能力を出す事がいかに難しいかは、枚挙にいとまがないのだが・・・。
実際に今回のハーフボードでも絶対王者と言われたショーン・ホワイトがまさかの失敗をしてしまう。
そんな中、平野はテレビ画面を見ていても平常心を保っている事が伝わってきた。
恐るべき15歳である。
1回めを涼しい(おそらく)顔で90.75の得点を上げる。
直後に滑るショーン・ホワイトに、いくばくかのプレッシャーを与えるに充分の点数だったと思う。
今回ソチのハーフパイプの形状がオリンピックに相応しくない出来と言われているが、それは全選手同条件。
百戦錬磨のショーン・ホワイトがまさかあれほどのミスをするというのは、やはりオリンピックの魔物に取りつかれてしまったのだろうか。
2回目にスイスのポドラドチコフが生涯で2回目の成功という大技を決目る事が出来たというのも、これまたオリンピックらしい所ではある。
それにしても、ポドラドチコフ、大技が決まった嬉しさと興奮はわかるが、自らのボードを投げ飛ばしたり、叩きつけたりする喜び表現は、国母の腰パンよりもはるかに許しがたい行為と思うんだがどうか。
大技が決まった事もあり、この時点で首位に立った訳だが、この選手だけには負けて欲しくないなあって正直思ったが・・・。
2回目の平岡選手が1回めの失敗を引きずらず、見事な演技、高さも充分で、2位に上がる。
日本勢のメダルは確定だ。
後は誰が何色のメダルになるのか・・・。
続いて1回めトップで、この時点3位の平野が登場。
最後にショーン・ホワイトが控えているので、順位をあげなければ最終的に4位の可能性もあった。
しかしここが並の選手とは違う。
こういったシチュエーションではほとんどの選手が力みから失敗してしまう。
ここで力をだせるのはほんの僅かの限られた選手であり、それこそスーパースターである。
この場面、平野は誰が見ても1回めより安定した、しかもハイレベルの演技を見せる。
結果、平岡を抜き、ポドラドチコフには及ばなかったが2位に浮上。
メダルを自らの力で確定させた。
何度も書くが恐るべき15歳だ。
これだけの事を成し遂げても喜びの表情は見せる物のクールなたたずまい。
最終滑走のホワイトが、大技を決めるが、着地に僅かに乱れが出て結果4位。
平野の銀、平岡の銅が確定した訳である。
4年に1度の大舞台。
この瞬間の為に積み重ねてきた物を出し切る事の難しさ。
上位各選手の差はほんの僅かでしかない。
平野、平岡は普段の力を出し切って、非情とも思えるこの僅かの差をホワイト等につけてスポットライトを浴びる事が出来た。
これから4年後、彼等はどのように成長した姿を見せてくれるのだろう。
期待も不安もあるが、楽しみに待ちたい。