栃ノ心剛、最高位小結。
このグルジア出身の26歳は逸ノ城の活躍に沸いた秋場所、十両で何と15戦全勝という快挙を成し遂げました。
さしずめ十両を将棋風に表現すれば「鬼のすみか」と言えるでしょう。
幕内経験者、十両常連、若手、新鋭がしのぎを削り、突出する成績を残すことは至難の業です。
実際優勝ラインは11勝、12勝がざらで、平成13年名古屋場所ではなんと9勝6敗で優勝という記録もあります(8人による決定戦)。
そんな十両で15戦全勝は平成18年春場所の把瑠都以来史上僅か5人目という大記録です。
栃ノ心は先場所も13勝2敗で十両優勝しており、特筆すべきは今場所旋風を巻き起こした逸ノ城に本割、決定戦と2度勝ってる事です。
栃ノ心は昨年名古屋場所で大けがをして休場。
以後3場所全休を余儀なくされました。
この大けがの前、栃ノ心は若気の至りか、はたまた遠い異国の地でストレスが溜まったか、門限破り、服装違反の常習だったとウィキペディアに記述があります。
それが元で親方との間でトラブルも経験してしまったようです。
そんな栃ノ心ですが、この休場期間に相撲が取れる事の幸せを感じたのか、心の変化があったのか、今年春場所で復帰してから以下のような見事な進撃ぶりです。
春場所 幕下 7戦全勝 優勝
夏場所 幕下 7戦全勝 優勝
名古屋 十両 13勝2敗 優勝
秋場所 十両 15戦全勝 優勝
何と4場所連続優勝でこの期間42勝2敗 勝率.955という凄まじいまでの成績です。
最高位小結まで行った男ですから、ある程度は想定されるでしょうが、最初に書いたようにここは鬼のすみかの十両です。
この数字は見事というしかありません。
昔、琴風が大関候補と言われながら左ひざの大けがで幕下まで陥落し、そこから復活して大関まで昇進して地獄を見た男と形容されましたが、さしずめ栃ノ心は平成版、地獄を見た男と言えるのではないでしょうか。
九州場所は幕内に復帰しますが、まだ26歳。
この勢いをそのまま持ち込んで活躍して欲しいものです。