こんな展開あるんでしょうか。
いや、実際に目の前に繰り広げられた筋書きのないドラマ。
いや、書きたくてもべた過ぎて逆に書けない脚本です。
新横綱の重圧なんのその。
私は先場所優勝を経験して横綱になって大きな壁を超えて優勝を重ねていくと考えていました。
期待通りに勝ち進む稀勢の里。
やっぱり彼はブレイクスルーしたのだと思った13日目。
日馬富士に持って行かれた土俵下。
あの痛がり方は尋常ではありません。
どうして神は稀勢の里にこうも次々と試練を与えるのでしょう。
鶴竜戦で全く良いところなし。
左腕は肩の痛みからかぶらぶらさせているだけの状態。
休場するしかないでしょう。
でもここは大相撲。
世間の批判は覚悟の上で出場続ける稀勢の里。
照ノ富士との本割も決定戦もほんとうは相撲など取れる状態ではなかったはずです。
逆転優勝。
もうこれは彼が言う通り「見えない力を感じた15日間」特に千秋楽の2番は正に神風が吹いたのでしょう。
おめでとう稀勢の里。
準優勝コレクターがこれで2場所連続の優勝。
本当なら盤石の強さが益々これから光り輝く・・・はずでした。
誤解して欲しくないのですが稀勢の里の頑張りを否定する訳ではありません。
大相撲という世界の中で休むことがいかに難しいか。
横綱としての責任も感じていたのでしょう。
勝敗を超えて最後まで土俵に上がることで責任を果たす。
そういう意識もあったでしょう。
本人が一番相撲を取ることが無理な状態とわかっているはずですから。
思い出すのは貴乃花が怪我を押して土俵に上がり武蔵丸に勝って優勝したあの光景。
代償はあまりにも大きかった。
誰もあの事を忘れてはいないはずです。
稀勢の里も土俵に上がることと引き換えに土俵人生を棒に振ることも考えたでしょう。
絶対そのことをわかって土俵に上がった稀勢の里を責める気にはなれません。
それが横綱の生きる道。
歴史は繰り返されるのか。
絶対にそうならないように、私は祈るしかありません。
頑張れ稀勢の里。