WBA世界フライ級タイトルマッチ、具志堅氏の記録に並ぶ世界戦14勝目をかけた試合。
井岡が迎えたチャレンジャーは12年間負け知らず61連勝がクローズアップされたタイのノクノイ・シットプラサート。
だいたいにおいて、度が過ぎた記録というのは何かしら胡散臭い物です。
ご存知ない方が多いと思いますが私が中学生の時、日本プロレスワールドリーグ戦に来日したホセ・メンドーサというメキシカンプロレスラーは雑誌ゴングによると2000連勝を記録しているとの触れこみでしたが、確かリーグ戦で2勝程しかできず大きく負け越してしまったんです。
その結果に、友人たちと2000連勝4000連敗!と言って笑っていたのを思い出していました。
61連勝もしているのに初の世界戦というのも不思議と言えば不思議。
そんな事を考えながら入場前のノクノイ・シットプラサートを見た時、ボクサーらしからぬ容貌に唖然としてしまいました。
誤解していただきたくはないのですが、私は井岡選手のことをA級のチャンピオンと思っており、実力ほど評価されていない現状に残念な気持ちを持っています。
確かに彼の言動とTBSの持ち上げ方など、叩かれるスキがあるのは事実で、そういうあれこれを払拭する為にも今日の相手ならきっちりと倒して防衛しなければならなかったと思います。
結果はご存知の通り大差の判定勝ちで防衛に成功しましたが、正直何枚も落ちる相手だっただけにフィニッシュに持っていけなかったのは不満です。
もちろん随所に井岡らしいテクニック、スピード、防御は見られましたが、やはり倒さなければならない相手だったと思います。
思えば控室の時から若干腹周りが締まっていなかったようにも思い、計量後の食事に問題があったのではないでしょうか。
コンディションが良くなかったと思います。
減量は問題なかったでしょうが調整が上手く行ったかと言えば、そうではなかったのではないでしょうか。
相手選手は途中からKO負けさえしなければ満足という考えだったと思います。
井岡はまだまだ可能性のある選手です。
今日の試合を教訓に次は今のスタイルを継承しつつよりスケールアップした井岡を見せて欲しいです。
期待が大きいだからこそあえて厳しく書いてしまいました。
それにしても長谷川氏の解説は精神面、技術面、選手の心理状態や、どのように攻めるべきかの戦術面まで含めて実に的確で素晴らしいですね。
放映局を問わず引っ張りだこになるのも頷けます。
トレーナーとしての長谷川氏も期待が持てますね。
井岡戦に先立って行われたWBO世界バンタム級本来ならタイトルマッチ。
前王者マーレン・タパレス対大森将平。
タパレスが計量をパスできず王座はく奪。
大森にとっては勝つことが求められるには変わりないですがタパレスのモチベーションがどうかという状況。
この試合立ち上がりは大森が唯一敗れた前回のタパレス戦の反省を活かし自らのペースで試合を進め、5R、7Rに絶対的なチャンスを迎えますがフィニッシュまで持って行けず、逆にタパレスに主導権を取られてしまい最後テンプルやアゴに強烈なパンチをもらい大きなダメージを受けて試合をストップさせられてしまいました。
タパレスの気迫に大森は完全に負けてしまいました。
こういったチャンスを物に出来るか出来ないかは紙一重ではありますが、もう少しの所でほぼ手中にしていたチャンピオンベルトが手のひらからスルっとこぼれおちてしまった。
打ち疲れした感じも見受けられ、ややスタミナに難があったように思いました。
早く精神的なダメージから回復してくれる事を願っています。
それにしてもタパレスは精神的にもタフでしたね。
井岡一翔 23戦22勝(13KO)1敗
ノクノイ・シットプラサート 67戦62勝(38KO)5敗
大森将平 20戦18勝(13KO)2敗
マーレン・タパレス33戦31勝(14KO)2敗