来シーズンからの新採点基準も決まり、各選手はコーチの助言も得ながら、曲選び、振り付け、構成などを固めていく時期に入りました。
シーズンオフといっても選手、コーチに静穏なひと時はほとんどありません。
4年後の北京に向け一度リセットして新たな一面を見つけつつ、長期計画でプログラムを作り上げていくことになるのでしょうが、それに長けているのが何と言ってもブライアン・オーサー。
来季に向けて、メドベージェワ、ボーヤン・ジン選手がクリケットへの移籍を決めましたが、何がそこまで選手たちを引き付けるのか。
もちろん結果を出し続けているのは見ていて明らかですが、今回、スポーツナビ時代から愛読させていただいている虹風憂璃さんの以下の記事を拝見して、その秘密を知りたく「チーム・ブライアン300点伝説」を読みたくなりました。
この手の書籍は得てして中身が薄い場合がありますが、この本は主にハビエル・フェルナンデスと羽生結弦、性質が異なる二人の稀代のスケーターに対するコーチングを中心に書かれており、読みやすい中にも、フィギュアスケートの枠に留まらず、ビジネスの分野でも大いに参考になる良書でした。
この本にはソチ五輪後から2016~2017シーズン、つまりプレオリンピックシーズンのGPファイナルまでの舞台裏が時系列に書かれています。
羽生とフェルナンデス、資質の違いによって異なるアプローチで指導していく様が書かれていますが、ランスルーの大切さや、ピーキング、曲選び、それぞれの重要性を具体的な記述により明らかにしてくれるだけでなく、4回転時代と言われる中、オーサーコーチがその流れに呑み込まれることなくトータルパッケージの大切さを選手自らが理解出来るようにコーチングしていく姿勢など、選手がモチベーションを維持するために最善を尽くしていることがよくわかり、あ~、クリケットクラブに選手が集まってくるのも無理ないなあ~って納得しましたね。
羽生選手もNHK杯を怪我で欠場したのち、しばらく去就がわからない期間がありましたが、クリケットクラブに居ることで、周囲の喧噪から守られ雑音を気にすることなく、コンディションを整えることに集中出来たんだろうと推測します。
あと、採点基準への対策についても詳しく書かれていて、GOEとPCSの重要性を説き、より高い加点を得るための長期的な戦術などにも記載が及ぶ盛りだくさんの内容でした。
今後のフィギュアスケートをより深く見ることが出来る。
そんな影響を与えてくれる良書でした。
続きの本が出たら、間違いなく読ませていただこうと思います。
何しろそこには、オリンピックシーズンのピーキング、戦略、NHK杯練習での羽生選手衝撃の怪我から、平昌での金メダル獲得迄の苦悩が書かれている訳ですからね。
実は昨日、6月15~17日に神戸で開催されたファンタジーオンアイスのテレビ中継(録画放送:関西ローカル)を見ました。
羽生選手が「春よ来い」で心のこもった演技を見せてくれました。
さすがですね。
まだまだ彼は旺盛な向上心を持っていることがインタビューでわかりました。
オリンピック次年度シーズンですが新たな楽しみが増えました。
9月になるとISU公認大会が開催され、10月19日のスケートアメリカを皮切りにGPシリーズがいよいよ始まります。
果たして新採点基準の元、どのようなドラマが見られるのでしょう。