GPシリーズもいよいよファイナル。
女子では浅田に、ワグナー、4人のロシア勢が挑む構図。
男子はチャンと羽生今季3度目の対決だが、果たしてどんな結果がまっているのか。
それにしても高橋のいないファイナルは想像以上に寂しい。
今更ながら彼の存在感は凄いと認識させられる。
女子は各選手失敗らしい失敗をしない。
目立ったミスと言えばアンナ・パラゴリヤの2Aが抜けてしまった事。
結局このミスが際立つ事になり、彼女はショート最下位に甘んじる事になる。
しかし、それにしてもこの緊張感の中で皆素晴らしい演技を披露する。
普通に見ているだけでは、ほとんど差を見出す事は困難な程だ。
だが、その中でソトニコワは自信あふれる表情。
彼女はエリックボンバールのフリーで覚醒したのだ。
技術点では浅田を上回る37.53の得点。
最初の3T+3Tを成功。
スピン、ステップは全てレベル4。
スピンコンビネーション、フライングキャメルスピンで高得点を上げて、
ロシア勢トップ、全体でも2位でSPを通過した。
他のロシア3人ではリプニツカヤが意外なほど得点が低かった。
もっと大きく見せるのだが今日は少し小さく見えた。
ロステレコムのSPと比べて技術点、演技構成点共に2.7~2.8スコアを落としている。
体調が本物でないと思う。
ワグナーはこれまた自信に満ち溢れるダイナミックな演技。
まるで水泳の選手かと思われる上半身の力強い身体を躍動させて会場の心をつかんだ。
演技構成点ではソトニコワを上回ったが、トータルで僅かの差で3位の通過。
そして浅田真央。
昨年までのSPの不安定さは影を潜め、今季ここまで常にSPの段階でトップに立ち、フリーで上積みをして逃げ切っている。
今日も大観衆を背にしてノクターンを演じ切る。
浅田の代名詞であるトリプルアクセルは、またしてもアンダーローテション。
得点は5.57に過ぎない。
今季好調と言っても、やはり3Aの成功率は50%がやっとだ。
私は過去にトリプルアクセルに固執するのは愚策だと言っていた時期があった。
なぜなら3回転3回転の方がスコアが伸びるのだ。
今日だけで言っても、浅田以外の選手は全て最初のジャンプに3回転3回転の連続ジャンプを構成に入れている。
あのキムヨナもそうだし、世界の趨勢はこっちの方だ。
得点を見ると、ソトニコワが9.60、ワグナー10.20、リプニツカヤ10.00、ラディオノワ10.90、パゴリラヤ11.00だ。
しかし、長く浅田がトリプルアクセルに挑戦し続けているのを見ている内に、もう、仕方がないなと思えるようになってきたのだ。
それが浅田の生きる道。
そう考えるようにした。
そしてそれが集大成のシーズンに別の形になって浅田の完成形が出来つつあるのだ。
それはSPで言えば後半のトリプルループ+ダブルループの連続ジャンプだ。
以前は、最初の3Aに失敗すると後の演技も精彩を欠く事が多かったが、今は3Aの失敗をカバーするだけの技を持ってきて成功させるようになった。
ここで浅田は8.39の高得点をもらっている。
これが大きい。
世界一のステップを持つ浅田は演技の印象も良く、演技構成点も高いスコアを獲得出来る。
これで3Aが成功すれば、正に鬼に金棒だ。
とにかくここまでは文句のつけようがない仕上がりを見せている浅田。
あさってのフリーではトリプルアクセルを2回入れて演技する予定だ。
果たしてどんな演技を見せてくれるのか、楽しみでしょうがない。
男子は羽生がチャンにどこまで迫れるかに興味が向かれていたが、何とエリックボンバールで記録したチャンの記録を上回る、世界最高スコアをたたき出した。
チャンは完全な失敗で、表情も固く、明日どこまで巻き返せるのだろう。