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昨日のエキシビションを持って今年の全日本フィギュアは閉幕した。
かつてこれほど多くのドラマを含んだ大会はなかった。
オリンピック代表選手選考。
引退を表明する選手。
それぞれの思いが複雑に交差し、それが観る者の心を震わした。
SPでは男女のメンタル面の強さの違いが良く表れていた。
やはり女子のここ一番での強さは素晴らしい。
あの人が滑り切ったのだから私も負ける訳にはいかない・・・という気持ちがそうさせるのだろう。
女子はSPの段階では上位選手全員に表彰台に乗るチャンスがあった。
それに比べて男子は失敗の連鎖が起きてしまった。
有力選手で最初に滑った町田のパーフェクトな演技に、他の選手はより緊張度が増してしまったように思える。
それによりSPの段階でトップ羽生と5位織田の差が25点以上と絶望的に差がひらいてしまった。
これは女子SPのトップ浅田と5位安藤までが8点差だったのに比べると、ほぼ大勢が見えてしまった感がある。
フリー女子については鈴木の演技が全てだ。
国内選手権とは言え215点のスコアは素晴らしいの一言。
大会前は、ここでこの次元のスコアを出すのは浅田と思っていたが、鈴木の演技は見る者の心を打った。
ファイナル出場を僅かな差で逃したが、ここに一つのピークを持ってくる技術はさすがというしかなく、ソチでも有力なメダル候補であろう。
浅田については今回は今回の事で、早く忘れる方が良いだろう。
彼女についてはもう私はとやかく言わないと決めたのだ。
浅田の信じる道を突き進んで欲しい。
ソチ本番で自身が満足出来たと言える滑りが出来る事を心から祈っている。
その結果が一番良い色のメダルならこれほど嬉しい事はない。
次を担う選手も村上を筆頭に宮原、今井、本郷と順調に育ってきており、経験を積んで大きく成長して欲しい。
男子は掛け値なし、全員が表彰台を狙える布陣となった。
高橋の選出も選考基準を読めば当然なのだ。
選考会で時間がかかったのは、怪我の状態の確認をしたからなのだろう。
そうでなければ、テレビ局の編集の都合だったとしか思えない。
小塚はよくこここまで立ち直ったと思う。
それは称賛されるべきで、私は世界選手権代表に選ぶべきだったと思っているが、それについては別記事で書かさせて頂きたいと思う。
高橋の世界一のステップを世界中の方に見てもらえる機会が無くならなかった事が嬉しい。
ローリー・ニコルも喜んでいる事だろう。
当然足がパンとしておればメダル候補だ。
羽生は既にチャンと並ぶ、金メダル最有力候補の位置にある。
コンディショニングさえ間違わなければ、既に総合的な力ではチャンを超えているので、金が取れる確率は高い。
町田は今現在、日本選手で4回転を一番安心して見ていられる選手だ。
ソチでは先鋒的な役割になるのではないか。
彼がまず素晴らしい演技を見せて他の選手に勢いをつける。
全日本では代表がかかっていただけに、他の選手にプレッシャーを与えたが、ソチでは外国選手にプレッシャーを与え、他の日本選手には勇気を与えてくれるような気がする。
もちろん彼自身も有力なメダル候補である。
とにかく男子は空前の強力布陣である事は間違いない。
この大会を持って、安藤美姫、織田信成というフィギュアスケート界を引っ張ってきた二人が現役引退を正式表明した。
浅田、鈴木、高橋なども今シーズンを最後に現役を退く事が事実上決定している。
確実に一つの時代が終わるのだ。
この流れは脈々と次世代に受け継がれていくのだろうが、日本のフィギュアスケートにとっては正念場である事は間違いない。
来年、再来年以降の全日本フィギュア会場も盛況で有る事を願ってやまない。