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長谷川穂積復帰2戦目・自分自身を見つける戦いが続く

長谷川穂積選手の復帰第2戦が近づいてきました。昨年4月に3階級制覇を目指すも、キコ・マルチネスに敗れ限界説に包まれた長谷川。1年の休養を挟み、復帰戦で無敗のファイターオラシオ・ガルシアと対戦。一部では無謀な戦いと言われましたが明確な判定で文句のつけようがない勝利でした。しかし何と言うか、長谷川の表情から読み取れたのは沸き立つ喜びではなく、複雑な思いでした。ひょっとして長谷川ははっきりと引導をわたされる試合を求めているのでは・・・そう感じてしまったのです。

もちろん試合をするからには勝利を求めるのがスポーツ選手の本能です。

そういう意味では今回の相手もなかなかの難敵です。

WBOスーパーフェザー級5位カルロス・ルイス。

フェザーでも小さい部類に入る長谷川にとってさらに上の階級。

契約体重57.6キロと長谷川史上最大体重で挑む事になりますがパワーはどうしても見劣るでしょう。

何しろ三浦や内山と同じ階級の選手と対戦する訳ですからそれは明白です。

それを知ってか長谷川は「つまらないボクシングを心がける・・・」と公言しています。

スピードで相手を上回り、相手の攻撃を交わし的確なパンチを当てる。

長谷川本来のボクシングを心がけるということです。

バンタム級王者時代後期、元来の気の強さから真正面で打ち合う戦法に変わり5連続ラウンド前半でのKO防衛。

皮肉にもそれがモンティエル、ジョニゴン、マルチネス戦でいずれも相手の強打により一気に敗戦に追い込まれてしまった伏線となりました。

特にジョニゴン、マルチネスは同じ階級であっても体格的に明らかに差がありました。

真正面から打ち合わず、長谷川本来のボクシングを展開出来ていたら・・・結果は違っていたかもしれません。

今回、ルイスの成績を見る限り、幸いにも体格差はあっても、とびっきりのファイターではないようです。

長谷川が頭に血をのぼらせなければ、ヒットアンドアウェイの戦法をとるならば高い確率で勝利するでしょう。

経験の差も大きいです。

ただ、どうも長谷川のコメントを額面通りに受け取れません。

何だか今度の試合も思いっきり真正面から打ち合うのでは・・・全てをわかった上で。

そう考えてしまいます。

世界戦は出来たらやりたい。

しかしこればかりは相手があるしマッチメイクが上手くいくとは限らない。

おそらくキコ・マルチネスと戦う前のノンタイトル4試合は再び世界を目指す為の試合だったと思います。

ところが前回のガルシア戦、今回のルイス戦はそうではないように思えるのです。

もちろんチャンスがあれば果敢に世界に挑むモチベーションは持ち続けているでしょう。

ただし、それは第一義ではなく、自分のボクシングが彼自身が持つ物差しより上で保たれているのか、そうでないのか。

それを確かめる為に試合をする。

誤解を恐れずに言うと、長谷川自身がリングを去ることに納得出来る試合を探し求めている。

そんな気がしています。

私が大きな勘違いをしているのかもしれません。

もちろん長谷川穂積は最も好きなボクサーの一人です。

試合後に「次も試合が出来る」的な長谷川の言葉を聞きたいです。

そんな長谷川のファイトを見れる幸せを感じながら応援する事にします。

元WBC世界バンタム級フェザー級王者 長谷川穂積 39戦34勝(15KO)5敗 

WBO世界スーパーフェザー級5位 カルロス・ルイス 15戦14勝(5KO)1敗