オリンピックシーズン前年の大事な大事なシーズン。
その最後を飾る世界フィギュアが終わりました。
いやあ、羽生選手、凄かったですね。
SPはまさかの5位でしたが、4大陸でフリーの鬼のような演技を見ているので、そこはちゃんと上げてくるとは思っていましたが、何しろここ数年安定感抜群のハビエルがPB出してトップだったので正直、また2位かもと心配していました。
でも相変わらず目の前の高い壁を超えていくんですね彼は。
世界フィギュアのフリーで年1の演技が出来る。
メンタルの強さを改めて世界中に知らしめましたね。
何度も何度もノーカットでVTRが放送されていますが何度見てもほれぼれします。
信じられない演技。
全くミスがありません。
ジャンプのGOEが全て2点台中盤から後半。
吸いつくような着地、微動だにしない姿勢。
演技が終わった時、今までは大きく肩で息をしていたのに、ほとんど呼吸も乱れていない。
確実にスタミナも強化されていることがわかります。
全ての歯車が狂ってしまった3年前の悪夢。
ハンイエン選手との衝突。
狂ったなりに常に最大限の成果を出してきたところが羽生の羽生たるところですが、結果として遠回りしながらもオリンピックプレシーズンの世界フィギュアという大舞台で絶対王者は定位置に戻ってくることが出来ました。
どこかの海外メディアが王の帰還と謳っていたようですがまさしくですね。
4大陸で羽生に勝ったネイサン・チェンは不調でした。
本人もフィギュアスケートの難しさを改めて感じたことでしょう。
逆に4大陸不調のボーヤン・ジンが盛り返して3位。
ネイサンは全米でアピールする必要があったので、既に今年はピークを過ぎていたのかもしれませんね。
昨年は羽生が結果的にGPファイナルでピークを迎えてしまい、世界フィギュア前に足に不安を抱えてしまったことが思い出されます。
コンディションを維持するというのは難しいです。
1年の中でもこれですから、2年3年と好調を続けることがいかに難しいか。
過去にも2年好調が続かない選手の例をあげれば枚挙に暇がありません。
ボーヤン・ジンと共に4回転の申し子といわれた二人が来季どんな状態に仕上げてくるのか。
メダルの行方を大きく左右するだけに注目です。
上位の選手ではベテラン、パトリック・チャンのほれぼれする美しい演技が印象的でした。
ジャンプをミスなく跳べるか跳べないかで順位に大きな影響を与える昨今。
パトリックの観衆を魅了するスケーティングは全く衰えを感じさせませんし、ジャンプ全盛時代にあって、彼のような選手がメダル争いに絡んでくる意味は大きいと思います。
そう考えると、技術と芸術双方をハイレベルで兼ね備えている羽生選手は今回の優勝でピョンチャンに向けて頭一つ抜け出たと言えるでしょう。
羽生を脅かす存在と言えばやっぱり宇野選手だったですね。
今回SPとフリー両方安定していたのは宇野だけだったということになります。
羽生が超絶演技を披露したので2位に甘んじましたが、彼もまた技術と芸術を羽生とは違ったアプローチで高い次元で両立させています。
羽生が国内大会はやりたくないと冗談交じりに話していましたが、本音の部分も多かったのではないでしょうか。
ピョンチャンではミスをしない者が金メダルを取る。
ミスをしたら脱落。
しかし誰もミスをしなかったとしたら、間違いなく羽生結弦が優勝です。
羽生がピョンチャン本番でSPもフリーもノーミスで逃げ切ってしまうのでは・・・
他陣営にその意識を植え付けただけでも世界フィギュアの優勝は羽生にとってとてつもなく大きかったと言えるのです。
あっという間に今シーズンも終わりました。
いよいよオリンピックシーズン。
怪我をしないでベストコンディションで迎えて欲しいです。
国別対抗は本当は不要と思いますが今年に限っては浅田選手が出場するなら来季に向かって彼女が自身のモチベーションを図るという点で意味が出てくると思います。