モンスター井上尚弥の全米デビュー。
過去幾多の日本人名チャンピオンが望んだ本場での戦い。
しかしマッチメイクの難しさから実現したのはほんの一部の選手だけでした。
過去13戦の戦いぶりで、もはや負けることが想像できないほどに進化した井上。
こういった昇り竜が如く勢いのある内に全米デビューを果たすことが出来た彼はやはり200年に一人のモンスターです。
たとえ戦の場が本場であっても、井上に求められるのは内容のある勝利であり、今回の試合はあくまで更なる高みを目指す通過点なのです。
そういう意味で今回、ニエベスの戦い方にもチャレンジャーらしい勇気が全く見られませんでしたが、少々物足りなかったように思います。
これは井上に対する期待が普通の選手と違って圧倒的に高いためであり、普通ならノー文句の勝利と言えるでしょう。
しかし4ラウンドまではさすがの井上も時折ワンツースリーとパンチを繰り出しますが、単調に過ぎる試合でした。
ただ、ニエベスとしても井上に対抗するにはガードを固めて、相手の打ち終わりやちょっとしたスキにパンチを繰り出すしか方法がないのも事実。
まともに打ち合ってはひとたまりもないでしょうから、ニエベスに限らず井上に勝つとなると、ニエベスのような固いガードでドネアのようなハードなパンチを打てる選手しかいないように思います。
現実にはそんな選手はいないでしょうから、ただガードを固くするだけでは全く面白くない試合になってしまうわけです。
ニエベスは1Rにパンチをもらってすぐに怖がっていましたからもうどうしようもないですね。
あのまま後半まで行けば観衆からブーイングをもらってしまったと思います。
もちろんブーイングはニエベスに対してでしょうが、井上にとっても面白くないでしょう。
そういう意味で5Rに爆発させたボディーは強烈な印象を残しました。
ガードを固められても超強烈なボディーを打てるのが井上のセンスです。
あれだけボディーを打たれたらたまったものではありません。
6Rはとにかく逃げるだけ。
逃げていてもあれだけ強烈なボディーを何発も浴びれば、そりゃあ心は折れるでしょう。
井上にすれば不完全燃焼だったでしょうが、次は骨のある相手と対戦が組まれるはずです。
今回も評判は上々のようですが、これだけで全米ファンも満足してもらっては困ります。
次戦で本当のモンスターを目の当たりにするわけですから。
井上尚弥 14戦14勝(12KO)
アントニオ・ニエベス 21戦17勝(9KO)2敗2分