オリンピックシーズンが終わり、しばらく平穏な日々が続くと思われたフィギュアスケート界からビッグニュースが飛び込んできました。
エフゲニア・メドベージェワ選手が恩師トゥトベリーゼ氏の元を離れ、ブライアン・オーサーに師事することを表明。
オーサー氏もこれを受け入れることを明らかにしたようです。
ロシア選手が他国のコーチに師事するのは異例ですが、メドベージェワからは決意の固さが見て取れます。
平昌オリンピックでは今シーズン急成長のアリーナ・ザギトワ選手に敗れ銀メダル。
表彰式やインタビューでは努めて平静を装っていましたが、心中穏やかなはずがありません。
基本、スポーツ選手は負けず嫌いが服を着ているようなものです。
2位ではダメだったんです、特に彼女にとっては・・・。
まして自分より上に行ったのが、よりにもよって今年シニアデビューで、同門、年下のザギトワ。
3年間主要大会無敗の絶対女王メドベージェワにとって平昌での金メダルは約束された場所のはずでした。
右足の骨折も克服しオリンピックに間に合わせたメドベージェワ。
他の多くのロシア選手たちが一瞬の輝きで終わるのに対し、体形変化にも順応しトップの座を譲りませんでした。
それらの苦労と節制が肝心なオリンピックで報われなかったのです。
しかし、まだ18歳。
次の北京でも22歳。
何かを変えなければと思ったのは容易に想像がつきます。
世界フィギュアを欠場し、悩みぬいたことでしょう。
その結論はクリケット組への移籍という新しい自分を探す試みでした。
説明不要の名伯楽ブライアン・オーサー。
メドベージェワは羽生選手にも思いを語っていたかもしれません。
羽生の存在は彼女にとって大きかったのではないでしょうか。
これはもう、期待するしかありません。
流れるような美しいスケーティングと高度な技術で観衆を魅了するメドベージェワ。
とは言うものの、うっとりはしますが、観衆が一体となるようなエンターテインメントとしてみた場合にやや欠けるところがあるのもまた事実。
キムヨナのダブルオーセブン、フェルナンデスの見る者を引きつけるプログラム。
羽生の全ての要素を取り込んだ芸術として完成された演技。
選手個々の個性を最大限に活かし、勝つことと魅せることを両立させたプログラムを作ることにかけてブライアン・オーサーは唯一無二の存在です。
今シーズン改正されるであろう新採点基準も追い風となりそうな感じ。
今までと違った魅力をメドベージェワが見せてくれることを期待して、新シーズンを待ちたいと思います。