コロナウィルス蔓延によりスポーツ界は全く機能しなくなってしまった。
再開に向けて、光が見えない状態。
今年のスポーツイベントはほとんど開催出来ないのではとの不安が頭をよぎる。
ボクシング界も同様。
試合迄2週間に迫り、本来更なる盛上りを見せていたであろう井上尚弥の統一戦。
当然の事ながら延期が決まり、開催時期も不透明。
早めに現地入りする計画だった井上だが、行く前に延期が決まったのは幸いだった。
ジョンリール・カシメロはフィリピンに戻らず(戻れず)ラスベガスに滞在。
共にジムは現在閉鎖されており、本格的な練習は出来ないが精神面では自国で過ごす井上の方が恵まれた形になったと思う。
延期は両選手にどのような影響を及ぼすのだろう。
当初予定通り4月25日に行われたとしても井上の勝利は揺るぎなかっただろうが、いくつか不安もあった。
何と言ってもノニト・ドネアとの死闘から間がなかったこと。
眼底骨折の影響や、試合で受けたダメージが果たして完全に回復していたかの疑問。
対するカシメロはあのゾラニ・テテに一方的な勝利。
勢いは井上を上回るものがあった。
カシメロは明らかに過去の対戦相手と異なるスタイル。
得体のしれないところが不気味さを更に募らせた。
それでもカシメロが、井上の防御をかいくぐってパンチを当てることは難しく、その前に井上のスピードについていけずモンスターパンチを被弾することになるだろうとは思っていた。
しかし、少し重心を後ろに残してノーモーションでいきなり強烈なパンチを打ってきたり、一発当たると一気にアドレナリンが爆発して連打をさく裂させるカシメロのボクシングに、まだドネア戦から間もない井上が巻き込まれてしまうことも頭の片隅にあったのは事実だ。
井上にとって、今回の延期はダメージ回復の時間をもらえたということで大きい。
もちろん4月25日にピーキングしていたので計画は大きく狂うことになるが、それはカシメロも同じ。
この延期は井上にはプラスしかなく、カシメロにはマイナスしかないと言えるのだ。
さてこのコロナ禍による試合延期はバンタム級戦線に微妙な影を落とす。
2月29日に、コロナ禍で各地の試合が延期・中止になる直前に行われた、WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ、カリド・ヤファイ対ローマン・ゴンサレス。
ロマゴンに敗れてベルトを失ったヤファイがどうやら階級を上げるらしい。
もしバンタムならば当然井上尚弥をターゲットにしてくるだろう。
これまた延期となったWBCバンタム級世界戦ノルディーヌ・ウーバーリ対ノニト・ドネア戦の動向も気になるところ。
一時は井上から見て優先順位が下位で、井上との対戦が難しいと踏んでいたWBA王者ギレルモ・リゴンドウ。
Sフライ級に階級変更して逆3階級制覇を狙うとの報道もあった。
しかしスケジュールが白紙化するやもしれぬ現在、井上戦を熱望する可能性はある。
コロナ禍後のバンタム級戦線も井上尚弥を中心に回り続けるのは間違いないが、このように見てくると、登場人物は多少変動があるかもしれない。
いずれにしても注目度の高さは変わらない。
WBAスーパー・IBF世界王者 井上尚弥 19戦19勝(16KO)
WBO世界王者 ジョンリール・カシメロ 33戦29勝(20KO)4敗
WBC世界王者 ノルディーヌ・ウーバーリ 17戦17勝(12KO)
WBA世界王者 ギレルモ・リゴンドウ 22戦20勝(13KO)1敗1NC
前WBA Sフライ級世界王者 カリド・ヤファイ 27戦26勝(15KO)1敗