藤川球児が現役生活最後のマウンドに立った。
ジャイアンツ・・・いや、他球団のファンも含めて、球児の難攻不落のストレートに悔しい思いをした人は多いだろう。
ストレートが来るとわかっていてもバットにかすらないのだから。
ナタではない、カミソリともまた違う。
何と表現すればよいか難しいが、やはり火の玉が相応しい。
異次元のストレートだ。
その藤川の引退試合。
せっかくの舞台が重信に対して巻き起こったSNSのバッシングで少々ケチがついた。
重信が普通のスイングをしてバットにあてたことに非難ごうごうなのである。
もちろん是とする声も多いが、こういった舞台でこのような議論が成されてしまったこと自体が残念でならない。
私はテレビでこの場面を見ていた。
代打坂本が豪快なスイングで空振り三振。
続いて同じく代打で登場の中島がこれまた派手な空振り三振。
この結果を茶番だと言う人も居る。
確かにボールとバットは始球式の空振りくらい離れていた。
しかしこれはこれで良いのだ。
既に順位も決まっている。
個人のタイトル争いにも関係ない。
終身打率でこの1打席の為に3割を切った・・・ってことにならない限り。
第一この件については原監督も坂本も中島も藤川も了解済みだ。
阿吽の呼吸。
公式戦ではあるが、当事者が納得しておれば良いではないか。
清々しささえ感じる気持ちの良いシーンだった。
ここからが問題のシーンだ。
重信が初球ボールの後、2球目をスイング。
これがセカンドフライとなり藤川の現役生活は終わった。
ここで掛布氏のあの発言が出た。
「重信は空気を読んでない」
まるでバットをボールに当てたことが非であるかのような発言をしたのだ。
実はこの発言、1回や2回ではなかった。
少なくとも3回は同様の発言をしたと記憶している。
私は掛布氏の発言を聞いていて良い気分はしなかった。
そんなつもりではないと、掛布氏の発言を擁護する声もあるが、私が聞いた限りあれは本音だ。
SNSによるバッシングは掛布氏の放った言葉に端を発したと言って過言ではない。
藤川の引退試合にケチをつけた氏の責任は重い。
たとえ引退試合とは言え、何故藤川投手のために1イニング全てをジャイアンツがサポートしなければならないのか。
坂本ひとりだけの対決なら全く問題ない。
今回はジャイアンツも藤川のはなむけに中島も参加させた。
そういうことだ。
次に出たのが重信だった訳だが、いったいどうすれば良かったのか。
掛布氏の言葉は、この回に登場したジャイアンツの選手は全て藤川のお膳立てをしなければならないと言ってるようなものだ。
申告敬遠をして岡本と対決すれば良かったという声まで出ているのにはあきれて物が言えない。
岡本も豪快な空振りで三振すれば良かったのか。
だいいち、そんなことで藤川が喜ぶと思うか。
否である。
昨日の藤川とジャイアンツ3人のバッターの対戦は結果含めてあれで良かったのだ。
藤川球児という稀代のクローザーが居たことは野球ファンの心に永遠に残る。
タイガース以外のファンにとってもそれは同じだ。
そんな藤川の最後の最後に少しばかりケチがついたことは残念でならない。
その思いを書かずにはおれなかった。
藤川投手にはお疲れ様と言いたい。
心からそう思っている。