東京オリンピックは何故こうも多くの問題を抱えてしまうのだろう。
7年前ロゲ会長が「トーキョー」と宣言した時の喜びは跡形もなく消えてしまった。
思えば新国立競技場の設計変更、エンブレム盗作疑惑、マラソンコース変更、そしてコロナパンデミックによる開催延期など、普通は起こらないだろうと思う大きな問題に次々と見舞われた今回のオリンピック。
森会長の発言に端を発する会長辞任劇は一連の負の連鎖にとどめを刺した気がする。
森元会長は、癌に侵された身体を東京オリンピック・パラリンピックの開催への気力で持たせていると思っていた私は何故あんな発言を公の場でしてしまったのかが残念でならない。
世界的には、全く擁護できない、発言しただけで退場になることが何故わからなかったのか、わかろうとしなかったのか。
過去の実績云々という人がいるが、一発退場のレッドカードを出されるような発言をしてしまったのだから議論の余地はないのだ。
でもって後任問題だ。
私は川淵氏が後任になるとのニュースを最初に聞いた時、これは良い選択と思った。
しかし森元会長が後任を選ぶのはおかしいという声が高まり、密室ということも重なり僅か半日で川淵氏は辞退するはめになってしまった。
森元会長の発言で辞任問題が世間を賑わしていた時は確か「森は辞任して裏方で交渉力を発揮してもらい、会長には顔として誰かになってもらう」的な考えが最もポピュラーな声だったと記憶している。
しかし川淵氏が正式な森会長の正式な辞任発表の前日に報道陣に、会長を受けることと森氏に相談役についてもらいたいことをしゃべっってしまったことで、批判が高まり、この構想はおじゃんとなってしまったのだ。
密室、森元会長からの要請・・・これらの要素がなく、普通に委員会で川淵氏が次期会長候補に推挙されていたならば、多少の批判はあっても概ね世論も納得する形で決まっていたのではないだろうか。
有効利用できる川淵氏というカードを使うことなく無駄にしてしまったのは痛すぎる。
後任は17日には決まるようだが、この困難極まりないオリンピックの会長を積極的に引き受ける人など居るのだろうか。
オリンピック開催の有無について世論は延期、中止含めて行うべきでないというのが世の趨勢だ。
開催国の多数の国民が開催を望まない状況で開催まで持っていくのは容易ではない。
もし開催の方向に舵を切るなら、世論をどうやって納得させるのか。
現状、世界を見れば、ベストな状態で参加できる選手がどれほど居るのか。
開催にこぎつけるには、あまりにも乗り越えなければならない壁が多過ぎる。
新会長には開催に対する国内のムード作りという任務も求められる。
誰が火中の栗を拾うのか。