日本時間16日に行われたボクシングスーパーバンタム級世界統一戦。
WBC王者ルイス・ネリとWBAレギュラー王者ブランドン・フィゲロアとの戦い。
あのネリがついにリングマットに沈んだ。
やっとYouTubeで試合を見ることが出来たので感想を書かせていただく。
山中慎介氏と2戦に渡るダーティな戦いで完全にヒールと化した悪童ネリ。
山中氏のキャリアを汚す結果になってしまったのは、ボクシングに興味を持つ者なら誰もが知っているとんでも野郎である。
ネリの度重なるアンフェアな戦いに対してWBCは軽いペナルティで済ます愚挙。
世界挑戦者決定戦まで組ませてもらう信じられないマッチメイク。
それなのにネリの悪癖は治らずその試合でもリミットオーバー。
対戦相手のエマヌエル・ゴンザレスが対戦拒否して試合は不成立。
本来ならゴンザレスに優位なマッチメイクが成されると思ったのに、結局ネリが王座決定戦に出場して勝利しWBC・Sバンタム級王者となった訳だ。
ここまでくれば正義などあったもんじゃない。
私はかつて山中氏がバンタム級王者だったころ、ネリを最も危険なボクサーと思っていたことがあった。
しかしネリは別の意味で危険な男だった。
具志堅氏に並ぶ13回目の防衛戦でドーピング(結局お咎めなし)。
リマッチとして行われた試合で半端ないウェイトオーバー。
体重を作る気など最初からなかったのだ。
それでも結局ネリは階級を上げてスーパーバンタム級の王者になってしまう。
今回の試合はWBAレギュラー王者ブランドン・フィゲロアとの統一戦。
申し訳ないけどフィゲロアがどんな戦いぶりをするのかよく知らず。
写真を見た印象では少し線が細い印象。
あんな男でも、かつては高い評価をしたネリである。
フィゲロアはネリに勝てるのかな?とあらぬ誤解をしてしまった。
映像を見るとフィゲロア印象と違って大きい。
バンタムでは(ウェイトオーバーの常連だが)大きく見えたネリが小さく見える。
それでもさすがに今回はネリもしっかり身体を絞ってきた印象。
1~2Rはネリの武器である大外からブンブン振り回す威力あるパンチがフィゲロアに被弾する。
結果を知らなければネリがこのまま優勢に試合を進めると思うだろう。
ところがフィゲロアはめちゃくちゃタフでハートも強かった。
3Rになるとフィゲロアはネリと身体を密着して接近戦に挑む。
両者パンチを見舞い続けて壮絶な打ち合い。
ネリのパンチは離れた位置から振り回して当てた方が威力が増す。
接近戦では威力が損なわれる。
フィゲロアは離れた位置からの被弾を避けたい気持ちもあったんだろう。
さらにフィゲロアはこのラウンドからネリのボディを狙い始めた。
密着しても離れてもボディにパンチを叩きこむ。
結果的にこのボディでネリのスタミナは削り取られていった。
5Rあたりからは離れてもフィゲロアは自分の距離で戦いを進めることが出来ていた。
決着がついた7R、ネリは明らかにスタミナを消耗していた。
最後ボディを打たれ、それまでの蓄積もあってたまらずダウン。
立ち上がる力は残されていなかった。
フィゲロア見事な勝利。
これでスーパーバンタム級WBAレギュラー・WBC統一チャンピオン。
9月にWBO王者スティーブン・フルトンとの統一戦に挑むことになる。
フィゲロアはルイス・ネリを倒したボクサーとして日本で英雄的扱いを受けるだろう。
1階級軽いウェイトのバンタム級で王者統一を狙う我等が井上尚弥。
将来的には1階級上げてスーパーバンタムに戦いの場を移す計画だ。
今回のフィゲロアだが階級を上げれば戦う可能性が高い。
フィゲロアは確かに強いしハートもある。
しかしボディに弱点があるように思えた。
但し、体格的には井上よりかなり大きい。
パンチ力、スピード、技術、ハート、センス、頭脳、どれをとっても超一級品の井上だが、問題はやはり体格ということになってくるだろう。
肉体を作っていって、スーパーバンタムで現在の強さを見せることが出来るかどうか。
この思いが危惧に終わるボクサーだとは思うが、今回の試合を見て一瞬頭をよぎったのは事実としてここに記録しておきたい。
ブランドン・フィゲロア 23戦22勝(17KO)1分
ルイス・ネリ 32戦31勝(24KO)1敗
スティーブン・フルトン 19戦19勝(8KO)