夏の甲子園も5日目。
東北勢の健闘が目立つ。
優勝旗が白河の関を超える時がいよいよきたのだろうか。
津軽海峡は超えているが・・・。
今回のピックアップは絶対的優勝候補大阪桐蔭に旭川大が挑んだ一戦。
何しろ昨秋の明治神宮大会、今春の選抜で力の差を見せつけて優勝。
春の近畿大会で智辯和歌山に敗れるまで公式戦29連勝を誇った。
エース級投手を3人擁し打線もどこからでも打てる。
飛びぬけた選手こそいないが総合力は過去のチームで一番と私も思う。
対する旭川大は平成5年3度目の出場時に1勝して以降6回連続初戦敗退。
大方の見方は大阪桐蔭が余裕で勝利するというのが正直なところだろう。
しかし試合は旭川大の積極的な攻撃で一時は3対0で旭川大リードという展開。
大阪桐蔭は大阪大会7試合で1点しか取られていないので、序盤で3点ビハインドというのは現チームにとってほとんど経験がない。
そういう意味で3回裏に2点を取り返したのは大きかった。
但し、これも相手のバッテリーエラーで貰った1点を含むので何か重苦しい雰囲気。
無死1、2塁で次打者のライトフライで2塁ランナーがベースに戻れずダブルプレー。
旭川大は各打者大阪桐蔭の先発川原にアジャストしていたので、このプレーがなかったら追加点を取って中盤以降優位に試合を運べたと思う。
そういう意味でこのプレーは流れが変わる大きなプレーだった。
大阪桐蔭は6回に同点本塁打、7回にも先頭打者の本塁打から連打で3点勝ち越し。
いつもの大阪桐蔭ならここから点差を広げて完全にペースを掴む訳だが、今日の旭川大の粘りは見事で、最後まで試合のペースは旭川大が掴んでいた。
8回も旭川大は4番、5番が川原投手から連続クリーンヒット。
無死2、3塁のチャンスに6番打者が痛烈な1塁線へのライナー。
誰もが抜けたと思ったが、ファーストがこれを好捕して2塁に転送。
2塁ランナー戻れずダブルプレー。
無死なんだから戻れないほど離塁する必要はないと思うが後続も凡退で無得点。
それでも、それでもあきらめない旭川大は最終回、リリーフで出てきた大阪桐蔭別所のコントロールがままならず四球、ヒットなどでツーアウト満塁。
3回にホームランを打った旭川大藤田の1・2塁間の打球をよくとったファーストが一瞬ベースカバーが遅れた別所へのトスより早く1塁ベースを駆け抜けた藤田の執念など本当に最後まで食い下がった。
満塁まで攻めたが結局最後はサードゴロで試合終了。
スコアの上では6対3だったが、展開のアヤで、勝敗はどっちに転んだかわからない試合だった。
大阪桐蔭には運も味方した。
しかし強さも十分に感じられた。
今大会大阪桐蔭は絶対的な大本命という評判。
勝って当たり前という雰囲気。
これほどやりにくいことはないだろう。
そんな状況の中で迎える初戦。
大阪桐蔭の選手は皆懐深い構えからフルスイングで投手に向かう。
これは終始一貫変わらない。
やはり力みもあった。
西谷監督も勝利監督インタビューで初戦の難しさを語っていた。
それでも前半3点ビハインドからの逆転勝利。
選手の顔に焦りは全く見られなかった。
甲子園の勝ち方を知り尽くしている西谷監督。
川原投手を8回まで投げさせた我慢強さ。
チーム全員が野球を知っている。
今日の試合を教訓として次の試合以降に修正することが出来るか。
他のチームは思ったはずである。
旭川大の健闘を見て、俺たちにも出来ると。
それでもやはり優勝候補の大本命は大阪桐蔭であることは間違いない。