パリ五輪。
男子サッカーが早々に決勝トーナメント進出を決めた。
これに対して女子は初戦スペインにサッカーをさせてもらえず。
スコアの上では1対2だが完敗。
残り2戦を1勝1分けが決勝トーナメント進出には絶対的な条件となった。
しかし改めて見ればスペインはとてつもなく強かった。
日本は何もさせてもらえなかったのだ。
あの試合を見ただけで金メダルはスペインで間違いないと思ってしまう。
そう思う程の強さだった。
この敗戦はある意味想定内か。
その証拠に?
先日キャプテン熊谷選手を含む、なでしこのメンバー3人のテレビインタビュー。
明るい!とにかく明るい安村・・・ではないが、メンバー3人は明るかった。
悲壮感がなく、これなら大丈夫・・・って思った。
それにブラジルは確かに強いがスペイン程ではない。
初戦スペインと戦った日本。
後は少しずつ力が劣るチームと順番に対戦。
試合運びとしては楽になると、私の脳裏に楽観的な考えも浮かんできた。
そんな中迎えたブラジル戦。
前半、PKを得たが、田中選手の蹴るコースを読み切ったキーパーにより得点ならず。
責任を感じたんだろう、その後田中選手積極的にゴールに迫るが、相手選手と結構激しい接触などもあり、ちょっとヒヤヒヤ。
ブラジルはスペイン程ボール回しは正確ではないが、個々のパワーはスペインより上。
ゴール前の突進力はなかなかの脅威だった。
そうこうしている内に後半11分ジェニフェルに鮮やかなゴールを決められてしまう。
その後はブラジルやや優勢の流れとなるが、日本は後半次々と交代カードを切って、攻め重視のメンバー構成となり、相手陣内に入るシーンが増えてきた。
しかし田中選手の強烈なシュートが相手キーパーのスーパーセーブによりはじき出されるなどして、0対1のまま時間がどんどん過ぎて行く。
そのピンチを救ったのが19歳、伸び盛りの谷川萌々子選手だった。
状況判断に優れ、中盤でボールを受けると的確なパスを前線に放り込んだり、自ら右サイドを突進してチャンスを作っていた。
ファーストプレイから一味違ったが、アディショナルタイムに入り谷川選手が只物ではないことが分かってくる。
アディショナルタイム2分、谷川選手が鋭くペナルティエリアに侵入。
流れの中で、これを防ごうとした相手選手のハンドを誘因しPKを得る。
これをキャプテン熊谷選手が冷静に決めて同点。
谷川選手の仕掛けが流れを変えたのだ。
この同点劇だけでも凄いが、これだけでは終わらなかった。
アディショナルタイム6分。
ミドルレンジでボールを受けた谷川選手。
相手キーパーが前に出ているのを見逃さず、ロングシュート。
ボールはキーパーの頭を超えてゴールネットに吸い込まれた。
スーパーゴールだ。
まさかまさかの大逆転!
恐るべき19歳。
なんでも谷川選手はおとうさんから、ブラジルのキーパーは前に出る癖があるのでチャンスがあると聞いていてイメージしていたらしい。
それをオリンピックの大舞台で冷静に決められるとは・・・。
とてつもない大物が居た物だ。
谷川選手の活躍で起死回生の大逆転。
ブラジルは決勝トーナメント進出をほぼ手中にしていたが、最後の最後に掌からスルリと抜け落ちてしまい、逆に崖っぷちに追い込まれた。
逆に日本は崖っぷちからの生還。
次戦ナイジェリアに勝てば文句なし。
引分でもトーナメント進出が濃厚になった。
これぞなでしこジャパン。
2011年Wカップ優勝から脈々と受け継がれてきた勝負強さ。
一時低迷の次期もあったが、再び若手の成長により希望が見えていた。
この試合、Wカップ優勝を経験しているベテラン熊谷選手とホープ谷川選手でブラジルから2得点。
伝統の灯は再び赤々と燃えあがりそうな予感を感じさせる歴史的大逆転劇だった。