パリ五輪も終わり、選手団の解団式が行われた。
今回獲得したメダルは金20銀12銅13の計45個。
今回獲得した金20、メダル総数の45は、海外で行われた五輪では最多だ。
総括的な思いは、いずれ別の機会に書かせていただくとして、本日は陸上競技全般についての雑感を。
今回の五輪、陸上競技全体では金1個を含む入賞11種目。
大健闘だ。
中でも燦然と輝くのが北口榛花選手の女子やり投げ金メダル。
最近は逆転の北口で、最終投てきで逆転優勝するパターンが続いていたが、今回は1投目に出した65m80を誰も抜くことが出来ず、歓喜の金メダルとなった。
助走でほんの少しズレただけで、軽く10mは結果の違いが出るやり投げ。
65m80という数字が他の選手に与えたプレッシャーは試技数を重ねるほど重くのしかかり、結局誰も克服出来なかった。
北口選手は予選でも1投目に予選通過ラインの62mをクリア。
凄まじい集中力に脱帽する。
試技数は少ないに越したことは無い。
心身共にスタミナを温存し、良いイメージを持ったまま決勝に臨むことが出来たと思う。
しかしそれにしても、日本の女子選手が投てき競技で金メダルを取るなんて、北口選手が登場するまでは誰が想像しただろうか。
先の日本選手権では優勝したものの、低調な記録に終わり心配していたが、ツアーを重ねていく内に逞しい精神力を身に着けていたようで、全くの杞憂に終わった。
金メダリストだけに許される勝利の鐘を鳴らした時のはっちゃけぶりは最高だった。
同日、メダルこそ届かなかったが、男子走り高跳び赤松諒一選手の5位入賞も歴史的快挙。
五輪の大舞台で自己ベストを跳んでの5位により、日本選手でも勝負できるとの認識を我々観客側も持つことが出来た。
その意義はとてつもなく大きいと思う。
マラソンも大健闘だ。
正直言って、私は男女共に上位に入るのは難しいと考えていた。
それが赤﨑選手5位、鈴木選手6位!
しかも、共にもしかしたらメダルも・・・と感じさせる程のレースぶり。
日本選手以外の上位選手は全員、持久力、瞬発力に優れると思われる黒人選手ばかりだったこともあって健闘が際立った。
これはMGCの成果も出ているように思うがどうだろうか。
男子110mハードルの竹村ラシッドは、メダルに最も近づいた。
次回五輪もちろんだが、たちまちは来年の世界選手権が絶好のメダルチャンス。
サニブラウン選手は9秒96で決勝に進めなかった。
何と言うハイレベル。
無念だったと思うが、サニブラウンは常に前向きなので、これも来年の世界選手権に期待しよう。
リレー侍たちも持てる力を出し切った。
特に4×400は決勝でアジア新記録を叩きだしての6位。
4×100は優れたバトンリレー技術があればメダルが取れるが、4×400は、個々の走力のウェイトが高く、4人の実力者が揃わないと上にはいけない。
そういう意味からこの結果には少なからず驚いた。
その他三浦龍司選手も3000障害で安定の8位入賞。
競歩も安定の3種目入賞。
東京五輪が1年延期になったことで、力を継続している選手に、新たに頭角を現した選手が入り混じった選手構成となった今大会。
400mハードルのようにピーキングが上手く行かなかった選手もいたが、教訓として、たちまちは来年の世界選手権に臨んで欲しい。
最後に田中希実選手について。
1500mでは救済措置で出た準決勝で自身2度目の4分の壁を破る3分59秒70。
セカンドベストの記録を出すことが出来たのはさすがだった。
複数の種目に挑むことについて、迷いが生じていたようだが、自分の思いに素直に動いたら良いと思う。
将来マラソンに挑むなら5千と1万、そうでないなら、今回五輪で出した記録で来年の世界選手権の参加標準も突破した訳だから、当面1500に絞ってはどうだろうか。