昨日の男子シングル感想に続いて女子シングルについての感想を。
出場6選手の内日本勢が5人と、まるで全日本のような様相。
そんな中、優勝したのは遅咲きアンバー・グレン。
フリーのトリプルアクセルは素晴らしい出来栄えだった。
まずは最終結果から。
男子と同じく、選手名、総合、SP、フリーの各得点を並べた。
優勝 アンバー・グレン 212.07 70.04 142.03
2位 千葉百音 208.85 69.33 139.52
3位 坂本花織 201.13 63.98 137.15
4位 樋口新葉 195.96 61.61 134.35
5位 吉田陽菜 194.02 64.23 129.79
6位 松生理乃 189.02 62.63 126.39
アンバー・グレンは今季になって自己ベストの記録を出した遅咲きの選手。
GPシリーズで2戦優勝してファイナル進出と今季絶好調。
その勢いは本物だった。
フリーでは、後半著しくスタミナが落ち、スピン、ステップでレベルを落としたが、ジャンプはエッジ違反もなく、トリプルがダブルになったり、回転不足もひとつあったが逃げ切った。
結果として男女共に、アメリカ勢が優勝、2位3位が日本勢ということになった。
世界選手権3連覇継続中の坂本選手はSPの失敗を挽回できず3位。
個人的には、今季のフリープログラムは演技が音楽(シカゴ)とマッチしていないと思っていて、それが今ひとつ得点が上がらない原因と思っている。
回転不足もけっこう取られたし、今までにはない事象だ。
とは言う物の、今季は来シーズンのオリンピックに向けてチャレンジの年と位置付けており、今回の結果を教訓にして立て直してくるに違いないので心配はしていない。
吉田選手と松生選手は一見問題なく演技を終えており、実際両選手とも美しくしなやかに(多少の躓きなどはあったが)滑り終えていたが、採点を見ると、回転不足とエッジ違反のマークがずらりと並んでいた。
今回のような僅差の戦いだと、ジャンプの細かい指摘で差がつくことになり、今回はその差が出た結果だった。
回転不足については、今回全体的に厳しかったとは思う。
審判によって判断に差が出るのが採点競技の難しさではあるが、何とかならない物か。
中2の時に全日本3位の結果に悔し涙を見せた樋口も23歳。
いや、まだ23歳。
坂本もそうだが日本選手は息が長い。
どこかの国ではティーンでピークが来たと思ったら、あっという間に姿を消してしまう選手が多いが、日本勢は長く第1線で活躍する選手が多く、これは素晴らしいことだ。
そんな樋口選手は今季好調。
ファイナルもSPは転倒などあって最下位だったが、フリーで巻き返して4位。
全日本で逆転と世界選手権代表の座を当然狙ってくる。
最後に千葉選手。
昨年から成長を続けるニューウェーブだが、着実に進化しておりスピードとダイナミックが特徴の坂本に対し、華麗でしなやかな千葉と、全くキャラが違う二人の選手の演技を同時に見るのは楽しいものだった。
これでGPシリーズも終了。
いよいよ国内では大一番、全日本の開幕が迫る。
過去にも混戦の年はあったが、今年はそれらに優るとも劣らない空前の大混戦。
現状、男女共に全日本の上位3名が世界選手権の代表に選ばれる様相だが、女子で忘れてならないのが、ジュニア無敵の王者島田選手の存在。
年齢制限の段階的引上げにより、今季の世界選手権、来季の五輪は出場が叶わない。
本人は受け入れているようだが、その分全日本にかける思いは強い。
島田のパーソナルベストは224.68!
坂本以外のどの選手よりも上回る。
激戦必至の全日本は12月19日からだ。