ダブル世界タイトルマッチ。
最近珍しくも何ともなくなってしまった。
裏を返せばそれだけピンでの興行が成り立たないって事なんだろう。
今日は山中慎介、八重樫東というどちらかと言うと実力の割に人気が追いついていない二人の防衛戦と、さらに長谷川穂積のノンタイトル戦が行われた。
山中慎介。
何故彼は世間からその実力程に評価されていないのか。
ダルチニアン戦の12ラウンドの印象がそれほどに悪かったのか。
それとも必要以上に形容される“神の手”への反発か。
まあ確かに神の手、神の手と言いすぎると何だかなあ~って思ってしまう事はあるだろう。
しかしその実力はすでにA級の王者である事は疑う余地がない。
今日の相手、ホセ・ニエベス。
過去3回の挑戦者に比べて明らかに劣る。
一部には弱い相手を選んだという声もある。
たまにはこういう相手と防衛戦を行うのは王者の特権だ。
恥じる事はない。
こういう選手に対しては、いかに鮮やかに勝つかが大切だ。
勝ち方がいつも以上に問われる。
そう言う意味ではもう誰も文句のつけようがないKO劇だったろう。
試合前に相手を倒す訳にはいかない。
それは犯罪だ。
しかしラウンドが進んでいくにつれて、山中何やってんだ!という声が多くなるのも事実だ。
1RKOというのはそういう意味では誰も文句の言えない理想の勝利だ。
山中の構えは実に堂々としている。
その構えから相手を射るように睨む眼光は実に鋭い。
初めから相手をのんでかかっている。
ラウンド途中で、山中がパンチを見舞うと、ニエベスは一気に覇気がなくなった。
後は時間の問題だった。
山中には神の手なんて陳腐なキャッチフレーズは不要だ。
是非とも本場ラスベガスでビッグマッチをやって欲しい。
八重樫東。
井岡戦でのファイトの印象が強烈なので、フットワークを使う本来の彼のボクシングの方が違和感を感じてしまう。
それにしても今日の相手は気色悪かった。
何なんだ。
見ていて腹が立ってきた。
痛がる、泣きそうな顔をする、レフェリーが止めている時に打ってくる、ダウンをダウンと認めない、ローブローに対するアピール。
何から何まで見ていて何だかむかついた。
世界にはほんといろんな変なボクサーがいる。
次はスカッといこうぜ、八重樫。
今日は本当に最後の世界前哨戦?
ジョニゴンに失意のノックアウト負けでベルトを失って早や2年4か月。
これで連続4試合目のノンタイトル戦。
勝って当たり前。
負ければ即引退危機。
こんなにやりにくい事はないだろう。
おそらく長谷川の気持ちはもうぎりぎりだろう。
長谷川もいつ世界戦が決まってもいいようにコンディショニングしていると聞く。
1R戦慄のKO劇だった。
往年に比べてパンチをもらいやすくなっているのがどうしても気になるが、長谷川が自らを納得させる為にも次は何としても世界戦を組んであげてほしい。
見たいなあ~長谷川の3階級制覇を。