世間は5月6日に迫ったモンスター井上尚弥の防衛戦で盛上りを見せている。
あのルイス・ネリが相手ということも拍車をかけている。
そんな中、本当なら井上と並ぶ評価を受けても不思議でない男の防衛戦が発表された。
その男は井岡一翔。
田中恒成に破られるまで国内最速のデビュー7戦で世界王座獲得。
ライトフライ級転向後も国内最速で2階級制覇。
フライ級では世界最速の3階級制覇。
そしてスーパーフライで4階級制覇を成し遂げて現在に至る。
これほどの実績にかかわらず、井岡には常にダーティーなイメージがつきまとう。
それはローマン・ゴンサレスとの対戦が実現しなったことで井岡が逃げたと思われたことから始まった。
その後も突然の引退。
引退からの復帰。
ドーピング検査による薬物疑惑(後にJBCのずさんな管理による誤りと判明)。
入れ墨の問題。
先日も再び大麻疑惑。
井上のように見る者を興奮のるつぼと化すようなスタイルと違い、完璧なディフェンスからタイミングの良いパンチを繰り出す俗に言う玄人受けするボクシングスタイルの井岡は本来井上と好対照の名チャンピオンとして両雄並び立って不思議でないが残念ながらそうはなっていない。
戦歴の中には八重樫東との死闘。
4階級制覇を成し遂げたアストン・パリクテ戦。
パリクテのパワフルなパンチをディフェンス技術で交わし、逆に多彩なパンチを繰り出し最後怒涛のラッシュでリングに沈めた試合はベストバウトと言って良いだろう。
その他にも戦前不利と言われた田中恒成戦もカウンターで吹っ飛ばしTKO勝ち。
悲願とも言えるファン・フランシスコ・エストラーダ戦は実現しなかったが、今回対戦が決まったフェルナンド・マルティネスは今が最盛期と思われる強敵だ。
井岡にとって過去最大の難敵と言って良いだろう。
井岡も気づけば35歳。
年齢的にはピークを過ぎているはずだが衰えは見せていない。
それどころか昨年末のホスベル・ペレス戦では激しい打合いの末7Rノックアウト。
芸術的なディフェンス技術だけでなく打合いにも負けない強いハート。
井上尚弥は200年にひとりのボクサーだが井岡もまた100年にひとりのボクサーだ。
マルティネス戦も激しい打合いが予想され一瞬たりとも目が離せない戦いとなる。
過去不利と言われた戦いにことごとく予想を覆す結果を残してきた井岡。
この試合を乗り切れば、いよいよ悲願のエストラーダ戦が見えてくる。
WBA世界Sフライ級王者 井岡一翔 34戦31勝(16KO)2敗1分
IBF世界Sフライ級王者 フェルナンド・マルティネス 16戦16勝(9KO)