あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
大晦日に行われたWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチは凄かった。
日本人同士の戦いでは過去最高のマッチメイク。
4階級王者井岡一翔に3階級王者田中恒成が挑戦する世紀の一戦。
大晦日のタイトルマッチはいつも紅白と被るので生で見られなかったが、今回は18時から中継をしてくれたのでライブで見ることが出来た。
結果はご存知の方も多いと思うが、期待に違わぬスリリングな試合。
序盤は田中がスピード豊かにパンチを井岡に浴びせて優勢。
井岡の固いガードをかいくぐって何発か顔面にストレートをヒットさせていた。
ジャッジ3人の採点は序盤4Rまで一人が井岡、後の二人はドロー。
いろんな見方があると思うが、私は2~4Rまでは田中優勢と見ていた。
しかし井岡は責められても冷静だった。
最近の井岡は序盤は相手に攻めさせる。
攻めさせて距離を測り、懐に飛び込むタイミングを掴んでいく。
ここらあたりの防御は本当に上手い。
攻撃的防御と言って良い。
田中優勢に見えてもペースは井岡。
そういう印象を見ている者に与えるのだ。
そうこうしてるうちに試合はいつの間にか井岡優勢に変わっている。
ベルト獲得のアリソン・パリクテ戦も指名試合のシントロン戦もそうだった。
昔から井岡はセンス抜群の試合運びを見せていたが、ひ弱な印象もあった。
それが今は見違えるほど逞しくなり、したたかな精神力を身に着け百戦錬磨の趣。
パンチを当てるタイミングは元々上手かったが階級を上げてパンチ力もついた。
31歳にして井岡は充実期を迎えたように思う。
5R、6Rに見せた左のカウンターは凄かった。
見事なタイミングで田中の顎を捉え田中は吹っ飛んでしまう。
田中は立ち上がった後猛然と反撃に出たが冷静な井岡。
8Rに再び左フックを田中の顔面にヒット。
ここでレフェリーが試合を止めて田中を抱きかかえる。
パンチを浴びた瞬間、明らかに田中の意識が飛んでいた。
あのまま倒れたらリングで後頭部をしたたかに打ってしまっただろう。
倒れなくても井岡の追撃のパンチを浴びてしまう。
いずれにしても相当のダメージが残る。
抱きかかえて転倒させずに試合を終わらせたのはレフェリーの神対応だった。
田中の選手生命はあれで救われた。
試合終了後我に返った田中は井岡の元に寄る。
お互いの健闘を称えあう素晴らしいシーン。
試合前、らしからぬ挑発的コメントを発していた井岡も田中に将来を託した。
これで井岡は念願だったビッグマッチの可能性が開けた。
ロマゴン、エストラーダ、シーサケット、誰と戦っても今の井岡なら五分に戦える。
スケジュール的に間に1戦はさむか、それとも前記3人の対戦結果を待つか。
誰が相手でも見応え充分だ。
田中恒成もまだ若い。
捲土重来を期待しよう。
捲土重来と言えば同日、比嘉大吾が再起3戦目を戦い復活の狼煙を上げるKO勝ち。
2021年は再び強い日本人世界チャンピオンの揃い踏みが見られそうだ。
WBO世界Sフライ級チャンピオン 井岡一翔 28戦26勝(15KO)2敗
前WBOフライ級スーパー王者 田中恒成 16戦15勝(9KO)1敗