井上尚弥が一人目立ちの日本ボクシング界。
令和になって日本選手が出場した世界戦は井上以外は全敗の1勝7敗。
世界チャンピオンも伊藤雅雪が敗れたことで現在は暫定を入れて6人。
ピーク時の半分に減ってしまいました。
井上以外にも現王者には田中恒星や拳四郎のような無敗のA級王者はいますが、ひところに比べさびしくなったことは否めません。
そんな中、二人の元世界王者が復権を狙い世界タイトルマッチに挑みます。
井岡一翔
まずはいよいよ迫ってきましたが6月19日に井岡一翔が4階級制覇をかけてWBOスーパーフライ級王座決定戦に出場。
昨年12月31日にやはりWBOの同級王座決定戦でドニー・ニエテスに判定で敗れていますが、そのニエテスの王座返上により巡ってきたチャンス。
相手のアストン・パリクテは本来ニエテスに挑戦する権利を有していましたが、ニエテスの返上で井岡と決定戦を行う運びとなりました。
こういうあたり井岡には不思議な運があるように思えます。
ニエテス戦はこれぞボクシングという見応えある攻防戦。
結果も2対1のスプリットで、ジャッジの見方によっては結果がどう転んだかわからない試合でした。
井岡はセンスの塊のような試合運びで今まで戦ってきましたが、残念ながら相手をしとめるパンチを持っていません。
切れ味とタイミングで相手をリングに葬ることはありますが、井上尚弥のモンスターパンチや山中慎介、三浦隆司、西岡利晃などに代表される必殺パンチを持たない井岡。
井岡が実力の割に過小評価されている原因はこれと、あとひとつは何と言ってもマッチメイク。
ローマン・ゴンザレスとの戦いから逃げたという評価は決定的でした。
しかし八重樫との死闘、ファン・カルロス・レベコにも勝負付けを果たすなど、私はやはり井岡はA級の上の王者だったと思っています。
今回の相手パリクテは25勝中KO勝ちが21もあるハードパンチャー。
この難敵に勝つためにどんな作戦を陣営は選ぶのか。
今回JBCのライセンスも再取得出来たことで2年ぶりの日本での試合。
パリクテに勝って4階級制覇を成し遂げるか。
背水の陣と言えるでしょう。
是非とも勝ってまずは尚弥より先に4階級制覇を成し遂げてもらいたいです。
アストン・パリクテ 28戦25勝(21KO)2敗1分け
井岡一翔 25戦23勝(13KO)2敗
村田諒太
「人生を振り返った時に、あのボクシングが自分の集大成でいいのかと考えた時、あのボクシングで終えたくないと思った」
村田諒太世界返り咲きへ、ロブ・ブラントとの再戦が7月12日に迫ってきました。
オリンピックチャンピオンとして大注目を浴びてプロデビュー。
初戦に超異例、東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄と対戦し圧巻の2RKO勝ち。
その後拙速な世界挑戦をせずに、じっくりと実力をつけて臨んだ世界タイトルマッチで疑惑の判定により敗退。
折れた心を復活させダイレクトリマッチで見事に世界のベルトを手に入れました。
目指すはゴロフキンとの対戦。
しかし熱望したゴロフキンとの対戦はロブ・ブラントに敗れたことで夢と散りました。
正直私は村田はこれでグローブを置くと考えていました。
しかし最初に書いた村田のコメント。
このままでは終われない。
格闘家としてのプライド。
文字通りのラストチャンスです。
正直苦しい戦いが予想されます。
しかし勝負事は何が起こるかわかりません。
終わった時にベルトを手にしている者が勝者です。
村田は過去最大のハングリー精神でブラントに向かっていくはずです。
応援しましょう。
チャンピオン ロブ・ブラント 26戦25勝(17KO)1敗
挑戦者 村田諒太 16戦14勝(11KO)2敗