ハーフパイプの快挙の後、高梨もきっとこれに続いてメダル、それも一番いい色のメダルを取れるだろうと思っていた。
直前に他国選手の好調さや、自身の「満足いくジャンプが出来ていない」というコメントは報道されていたが、本番直前にマイナス要因が出てくるのは世の常だし、かえってその方が良い位だと考えていた。
しかし、直前のハーフパイプでショーン・ホワイトがまさかの4位になったすぐ後に、再び繰り広げられた絶対王者の敗北。
高梨までがその波にのまれるとは思っても見なかった。
一番悔しいのはもちろん高梨選手だろうが、表彰台にも上がれない結果は想像もしていなかった。
後から考えればいろいろと敗因は挙げられるだろう。
風の影響。
確かに2本とも追い風だったのは高梨のみだったらしい。
ジャンプ台の構造。
最近新しく作られるジャンプ台は傾斜が緩やかになっていて、踏切りのタイミングが高梨選手は苦手とされている。
金メダルへプレッシャー。
確かにプレッシャーはあっただろう。
しかしこれだけの絶対的候補の割には、まだマスコミの扱いは過度とは思わなかった。
むしろ、扱いが少ないと思った程だ。
こんなファクターははねのける実力が備わっていたのに・・・。
一体全体何がどうしてこんな事になってしまったのか。
ひとつ思う事は、最近の高梨選手が発していたコメント。
その中に、細かい言葉は忘れたが、ジャンプの先駆者である山田コーチの為にも・・・や、応援して下さる皆様の為に・・・とか今回の競技の目的をそういった方向で話す彼女がとても気になっていた。
すごく優しくて真っ直ぐな子というのが伝わってくる。
人間的に素晴らしい資質であるが、ここらあたりが、勝負の世界であと少し足らなかった部分ではないかなあ~って思ってしまうのだ。
誰も彼女を責められない。
高梨選手自身にとっては忘れる事は出来ない悔しい出来事だろうが、工藤アナのインタビューに真っ直ぐに応じる高梨選手の姿を見て、4年後のリベンジを期待するしかないと思った。
4年は長いが、彼女には若さという武器がある。
今季のW杯の総合優勝は既に決まっている。
誰もが女子ジャンプの王者は高梨である事を知っている。
オリンピックチャンピオンの称号はピョンチャンまでカリーナ・フォクトに預けておこう。