仕事以外全部趣味
カンヌで役所広司が最優秀男優賞を受賞した映画。
プライムビデオで鑑賞。
「PERFECT DAYS」
主人公は公共トイレの清掃員。
長屋に住んでいる。
朝起きて布団を畳み、植木に水をやり、歯を磨いて口ひげを整え、清掃用のユニフォームを着て、玄関で鍵、カメラ、小銭などを取り外に出て、自販機で缶コーヒーを買い、(コーヒーはBOSS!)清掃道具が積み込まれたワンボックスに乗り、カセットの音楽を聞きながら、都内の公衆トイレの清掃業務に出かける。
清掃の合間には公園のベンチでサンドイッチを食べ、大きく育った樹木の写真を撮る。
業務が終わったら、馴染みのカウンターでつまみとドリンクを飲み、大衆浴場で身体をリフレッシュして、夕食を取って寝床に入り、古本屋で買った本を読み、睡魔に勝てなくなればそのまま眠りにつく。
毎日決まったルーティーンで動く、そんな主人公の物語だ。
寸分の狂いもない日常が淡々と流れていく中で、様々な人との触れ合いが描かれる。
本当は主人公は、そういった刺激は求めてはいないのかもしれない。
しかし望まざるとも、それらは全て優しさに満ちていた。
ここらあたりが琴線に触れてくるのだ。
お涙頂戴の映画では絶対に泣かない私だが、過ぎ去っていった何気ない日常を自分に置き換えた時、たまらなく泣きたくなってしまった。
台詞は極力そぎ落とされているが、何の不自由も感じない。
映像は美しく、主人公が車内で聴く音楽がこれまた抜群のセンス。
日本人監督では絶対に選曲しないだろうなあ。
しかし何と言っても役所広司が良い。
他にも芸達者が揃っていて、この映画の完成度を高めている。
パフォーマーのアオイヤマダが出ているのには驚いたが、とても印象的な演技だった。
もう一度観たい。
そう思わせてくれる映画だ。