衝撃のデビューだった。
デビュー戦とは思えない程の余裕。
精神力の強さは半端ではない。
あの距離の詰め方はなんなんだ。
常に柴田は追い込まれてしまって全くボクシングが出来ない。
あれだけ圧力を受けて重いパンチを当てられるのだからひとたまりもない。
村田にとっては最高のデビュー、最高の勝ち方だった。
柴田選手は普通なら相手にしなくても良い村田選手のデビュー戦を果敢に受けた。
こんなリスクの高い試合、誰が望むものか。
東洋太平洋チャンピオンがオリンピック金メダリストのデビュー戦の相手をする訳だ。
勝って当たり前、負ければボクシング生命にかかわる。
結果何も得る物がない敗戦を喫してしまった。
この負け方は相当ショックが残る。
精神的なダメージが心配だ。
村田選手の今後のローテーションはどうなるのだろう。
デビュー戦で東洋太平洋王者に勝利。
JBCの決まりでは日本、東洋の王者経験がないと世界タイトルに挑戦出来ない。
改めて柴田と東洋タイトルをかけての戦いはまず行われないだろうから、日本タイトルを取りに行くのか。
それともボブアラムプロモートにより最終的に海外での挑戦を目指すのか。
すでに27歳という年齢。
遠回りする時間はあまりない。
ちょっと気が早すぎるがそんな事まで心配になる程の鮮烈デビューであった事は間違いない。