実は今回、井上尚弥の試合はライブで見ていない。
京セラドームの巨人戦を観に行ってたからだ。
巨人戦のことは次回先週の巨人で触れることとするが、そういう訳で、今日レミノの録画で井上の試合を試合を見た。
以下井上VSテレンス・ジョン・ドヘニー戦の感想を。
井上尚弥の試合はデビュー以降のほとんどをレビューしてきた。
危なかった試合は皆無。
バンタム以降は常に最強の挑戦者が相手。
そんな相手をことごとく倒してきた。
常に期待以上の成果を見せてくれる井上尚弥。
改めて思い返しても、これだけ完璧なボクサーはいない。
そんな井上が今回相手に選んだのがテレンス・ジョン・ドヘニー。
マッチメイクは難しい。
37歳と少々年を食っている。
当然対戦すると思われた、サム・グッドマンがはっきり言って逃げた。
では、ムロジョン・アマダリエフとなるが、これはタイミングが悪かった。
そういった経緯で選ばれたのがテレンス・ジョン・ドヘニーだった。
このマッチメイクについて、思うところは既に書いたのでここでは触れない。
そんなテレンス・ジョン・ドヘニー。
これがけっこう難しいボクサーだった。
元IBFスーパー・バンタム級王者。
計量後のリカバリーが10kg以上。
試合ではウエルター級の大きさの相手と戦うことになる。
WBOアジアパシフィックタイトル戦で王者中島一輝を4RKOでタイトル奪取。
井上のスパーリングパートナーで将来を嘱望されたラミド選手を1Rノックアウト。
そして井上VSネリ戦のリザーブとして呼ばれ、試合が成立したために行われた試合も4RKO勝ち。
ドヘニーは自ら印象深い勝利を積み重ね、井上の対戦相手に浮上したのだ。
これでチャンピオンまで上り詰めれば、それはなかなかのシンデレラストーリー。
だが、あまりにも相手が悪かった。
武器は強烈な左フック。
それは井上にとっても危険なパンチだ。
しかし・・・だ。
試合ではドヘニーの良さは全く出なかった。
挑戦者は勇敢にチャンピオンに挑まなければならない。
そうでないと勝利など巡ってこない。
しかし、ドヘニーはいくら前進しようとしても、結局コーナーに追い込まれ、ほとんどロープを背にしてしまう
井上のプレッシャーが強すぎて、何もさせてもらえないのだ。
リング中央でボクシングをさせてもらえない。
序盤、時折見せるスピード豊かな井上のパンチは、たとえガードの上からの被弾でも、ドヘニーに、恐怖を植え付けるに十分だった。
ドヘニーは時折得意の左を繰り出すが、当たらない。
僅かにかすっても、すぐに反撃にあう。
何もできないドヘニー。
井上からすれば、後は、少しずつスタミナを奪って、最後は倒すだけ。
そんなストーリーの序章が始まった6R。
ラスト20秒から、ド迫力の連打をドヘニーに浴びせる井上。
たまらず後退するドヘニー。
そんな流れの中、井上の左が逃げるドヘニーの背中に命中。
ゴングで救われたドヘニー。
もし後、20秒あれば、試合はこのラウンドで終わっていた。
7R早々、井上が仕留めに出ようかとエンジンを全開にしようとしたその時。
腰を押さえ、ふらつきながら手を振って、もうダメポとレフェリーに訴えるドヘニー。
唐突に試合終了。
井上尚弥、4団体統一王者として2度目の防衛が成った瞬間だった。
6Rに至るまで、ドヘニーは幾度もボディーに井上のパンチを被弾していた。
蓄積したダメージと6Rの井上のラッシュにより体幹もバラバラになったであろう、ドヘニーは背中に受けたパンチで、壊れてしまったのだ。
今までのような爽快なノックアウトではないが、身体を破壊してしまう井上のパワーは、やはりモンスターだ。
ウエルター級並みの身体を相手にしても、問題なく対応した井上。
1Rから冷静に戦い、中盤以降に勝負に出た今回のボクシング。
近い将来、フェザーに転向した時をイメージするには格好な相手だったドヘニー。
ドヘニー戦を見て、井上はまだまだ強くなると感じた。
絶頂期はまだ先。
グッドマンもアマダリエフも敵ではない。
フェザーに転向しても、問題ない。
そう確信した試合だった。
Sバンタム級4団体統一王者 井上尚弥 28戦28勝(25KO)
テレンス・ジョン・ドヘニー 31戦26勝(20KO)5敗