前回、三原舞依選手のことを書かせていただいた。
今回は樋口新葉選手について。
樋口選手もまた、日本女子フィギュスケート界を長きに渡り牽引してきたひとりだ。
・2016~2017シーズンシニアデビュー
・ミラノ世界選手権銀メダル
・全日本選手権2位4回 3位2回
上記の成績を見てもわかるが、樋口選手は全日本の鬼だ。
私が今でも忘れられず、かつ、最も強烈な印象があるのも全日本での彼女。
それはシニアデビュー前、彼女が中学2年生で初めて出場した全日本。
まずSP。
驚いたのが圧倒的なスピード。
豊かなスピードから繰り出すジャンプもバンバン決まる。
ステップもスピンも全てレベル4。
その演技に釘付けになった。
叩きだした得点を超える選手が現れない。
この点数を超えたのが当時第一人者の宮原選手。
ある意味当然のことだが、ここでテレビカメラが抜いた樋口の表情。
怒っていた。
明らかに自身の点を超えられたことに怒っていた。
そして迎えたフリー。
樋口は最初のジャンプを失敗。
普通ならここでガタガタと崩れてもおかしくない。
ところが樋口は後のジャンプで見事リカバリー。
13歳で表彰台に上る。
これは物凄い事だ。
ところが、ここでもまた驚かせられる。
インタビューで涙。
出た言葉は、思うような演技が出来なかった悔しさだった。
すごい13歳だと思った。
私は今でも樋口選手を見るたびに、このことを思い出す。
その後も樋口選手はトップランナーを走り続ける。
前述した北京五輪では団体銀メダル、個人は惜しくもメダルにあと一歩の4位入賞。
世界選手権は4回出場で最高位は2位。
層の厚い日本選手の中でもその個性は輝きを放った。
そんな樋口も度々怪我に悩まされる。
それでも持ち前の負けん気からか、その度に復活して彼女らしいスピード感あふれる演技を披露し続けてきた。
引退を表明した今シーズンも足の痛みに悩まされ続けた。
さすがの樋口もNHK杯のSPでは精彩を欠き、辛そうな表情。
今シーズン最後まで滑り切ることが出来るのか?
と思ったが、フリーで見事な演技。
そして迎えた現役最後の全日本で見せたフリーの演技は圧巻だった。
魂のこもった演技は全てのフィギュスケートファンの心を掴んだと言って過言でない。
どこにこんなエネルギーが残っていたのかというような素晴らしい演技。
レベル4を貰ったステップでは、力を振り絞って観衆の気持ちを鷲づかみ。
演技終了後は競技生活への思いがあふれ出たのかリンクに大の字になって完全燃焼。
ここに樋口新葉選手の競技生活が終わりを告げたのである。
あのスピードでリンクを疾走する姿が見られなくなると思うと本当に寂しい限りだ。
全日本で始まり、全日本で有終の美を飾った樋口。
お疲れ様!!