長く女子フィギュアを牽引してきた村主、安藤、鈴木、各選手の引退。
浅田選手の“ハーフハーフ”休養。
男子以上に世代交代が一気に進んだ今シーズン。
ジュニアGPファイナル女子シングルにはロシアと日本から3名ずつ進出。
正に現在のフィギュア界の縮図のような構成。
その中でもひときわ若い樋口新葉。
何と中学2年生の13歳です。
今シーズン急激に成長し、滑るたびに自己ベストを更新する感じです。
ジュニアGPファイナルで3位に入り、世間は早速浅田2世というフレーズを彼女に与えました。
全日本を前にマスコミは彼女を取り上げ注目度は赤丸急上昇です。
そんな樋口選手がついにシニアの大舞台全日本でベールをぬいだのです。
初日のSP、18番目に登場した彼女は噂にたがわぬ、いやそれ以上のパフォーマンスを披露しました。
圧倒的なスピード。
次々と決めるジャンプ。
13歳にしてルッツとトーループの3回転3回転に挑むすごさ。
スピンもレベル4。
私はその躍動感あふれる演技にくぎ付けになりました。
得点は64.35という高得点。
当然トップです。
あとの選手にプレッシャーを与える程の強烈なインパクト。
しかし私が本当に驚いたのはこの後です。
滑走順25番目の宮原が流石の演技で、ここまでトップの樋口の得点を超えた時。
テレビカメラはスタンドの樋口を捉えました。
明らかに怒っていました。
このシーンは私がいつも読ませていただいてるブロガーの方もしっかり書いておられました。
ここ最近のフィギュア選手達はどちらかというと皆仲良しでこういった表情を見かけなかったので衝撃でした。
その時は正直、少し引いてしまった・・・というのが率直な感想です。
しかし今考えると、この怒りは自身に向けての物だったのかもしれません。
そして翌日のフリー。
最初の連続ジャンプのパンクを後半に持ってくるなど冷静さも見せてくれました。
結果後半に連続ジャンプ三つを含む4個のジャンプで点数を稼ぎミスの影響を最小限に留めました。
トータルでも宮原、本郷に次いで3位表彰台。
参考記録ですがトータルはジュニアGPファイナルの自己ベストを上回りました。
まっこと見事なシニアデビューだった訳です。
ここであの涙のインタビューが流れました。
13歳で表彰台。
素晴らしい結果です。
誇っても良い。
しかし樋口選手から出た言葉は思うような演技が出来なかった悔しさでした。
もちろん笑顔はありません。
涙のインタビュー。
SPで見せたスタンドでの表情。
3位インタビューでの涙。
この子は凄い!
そう思うと同時に、時代が変わりつつある事を感じました。
日本フィギュア界は次々と優秀な選手が現れ、その姿にあこがれてスケートを始める子が増える。
裾野の広がりは昔とは比べ物にならないでしょう。
当然競争は激しくなる。
その中から抜け出してトップに立つ為には、悔しい思いをバネに出来る強さが必要です。
新しい時代のトップランナー。
それが樋口新葉選手なのでしょう。
なかなかいいじゃないですか!
まだまだ乗り越えなければならない壁はいくつもあるでしょうが、樋口選手なら越えてくれそうですね。
世界ジュニアでまずは自己ベスト更新を狙いましょう!