世界柔道は個人戦で金メダル「0」だった女子が団体で起死回生、金メダルをもぎ取る事に成功した。
最近の日本スポーツ界は個人種目で失敗しても団体で好成績をあげるパターンが定着化しており、柔道も同様に日本の強みを活かした形だ。
女子選手たちは前・園田監督の選手に対する暴力・パワハラを集団で告発するという勇気ある行動を起こし、それをきっかけにして全柔連の膿を出す事が出来た。
その功績は大である。
しかし報道を見ると、パワハラの束縛から逃れた事で得た自由をはき違えたがために気が緩み、今回の世界柔道で金メダルを取れなかったという論調であった。
もちろん、まだまだ努力を重ねていかなければ目的を成し遂げる事はかなわないだろう。
しかし現段階でその責任を選手にばかり押しつけてはならない。
選手たちに今まで自由に何も考えさせなかった旧体制側が悪いのだ。
新体制になり、試行錯誤を重ねながら新たな日本柔道を作り上げて行く事が肝心だ。
そういう意味から今大会でいきなり結果を求めるのは拙速に過ぎる。
実際ロンドンでも金は松本1個ではなかったか。
団体で心意気を示してくれただけで充分だ。
次回以降に期待したい。
男子もまた重量級がふがいなかった為に、再建はまだまだとか悲観的な言葉が並ぶ。
何故、そんなにネガティブな思考しか出来ないのか、私は不思議でしょうがない。
軽量級3日連続若手が金メダルを獲得した。
そのいずれもが堂々たる勝ち方だ。
確かに柔道は全日本柔道選手権を勝つ事、すなわち無差別級で優勝する事こそ真の王者であるという伝統はある。
全日本で勝つのはどうしても重量級の選手だ。
柔よく剛を制すという言葉にあるように、小兵が大きな選手を倒す快感はあるが、実際には重量級の選手が日本一に輝き、その選手イコール世界一であるという思いはわかる。
その重量級が最近全く不振というのは由々しき事だというのも理解できるが、今はたまたまそれだけの強い選手がいないだけなのだ。
ほっておいても世界に通用する、いや普通に世界一になれる選手がすぐに出てくるだろう。
それが伝統だ。
重量級の現有勢力をレベルアップさせる事ももちろん大切だが、まずは活況の軽量級をより強化し、重量級はスターの登場を待つ。
その為には少年時代からの育成方法や強化の仕組みを整備しなければならないだろうが、新制全柔連は当然そういう所から改革を図っていくだろう。
お手並みを拝見という感じで温かく見守っていきたい。