今日タイガースの藤浪が10勝に到達した。
タイガースでは江夏以来の高校生投手二桁到達という事でその非凡さを改めて認識させられた。
ライアン小川も登板したが13勝目はまたもおあずけとなり、新人王争いは混沌を極めてきた。
私は6月30日のエントリーで菅野、小川両選手の数字を比較する記事を投稿させていただいた。
(関連記事欄にピックアップさせていただきますので比較されても面白いかと思います)
その時点では実は藤浪選手は新人王レースから後退したと思いこんでしまい、上記二人の比較だけしかしなかった。
その後の藤浪選手の高卒新人離れした活躍には驚かされた。
シーズン前解説の広岡大御所があのままのフォームでは間違いなく故障すると言ったような記事が出ていたが、故障どころかタイガースのローテーションをしっかりと守っていて勝ち星もあげるという見事な活躍だ。
今回は当然藤浪選手も入れて3人で比較して見る事にしたい。
(尚、データはいつものようにヌルデータを参照致しました)
ヌルデータほんとに素晴らしい。
1.基本データ
登板数 勝利 敗戦 防御率 投球回数 完投 WHIP
小川 21 12 4 3.09 139.2 2 1.19
菅野 21 11 4 3.04 139.1 1 1.14
藤浪 19 10 4 2.47 109.1 0 1.18
甲乙つけがたいと見るべきだろう。
チーム事情など様々なファクターはあるが、小川、菅野はきっ抗した数字、僅かに投球回数に届かないが藤浪の防御率は隠れ2位の堂々たる数字だ。
2.その他データ①
奪三振 与死四球 K/BB K/9 BB/9
小川 110 40 2.97 7.09 2.38
菅野 120 32 4.29 7.75 1.81
藤浪 100 36 2.86 8.23 2.88
以前から菅野が最も非凡さをあらわしていたデータで、差はつめられたとは言え、依然菅野は優秀な数値を維持している。
三振が取れて四球が少ないという投手の持って生まれた性能の良さ・・・と言ってはたとえが適切ではないかもしれないが大投手になる為のとても大切な要素である。
セリーグでマエケンが1位、ほぼ同じ数字で菅野が2位、3位は能見投手で3.39と書けばこの数字がいかに優れているかご理解頂けるだろう。
3.その他データ②
小川 577 129 8 .245 .344 0.52
菅野 576 131 9 .247 .338 0.58
藤浪 444 94 7 .236 .339 0.58
これまた甲乙つけがたい数字が並ぶ。
投球イニングは少ない物の藤浪投手は高卒ながら本当によく投げている事がわかる。
4.月別成績
小川 勝利 敗戦 防御率
・3、4月 3 0 2.08
・ 5月 2 1 4.29
・ 6月 3 1 2.50
・ 7月 3 0 2.28
・ 8月 1 2 4.36
菅野 勝利 敗戦 防御率
・3、4月 3 1 2.57
・ 5月 2 0 2.43
・ 6月 2 1 2.86
・ 7月 2 0 2.66
・ 8月 2 2 5.16
藤浪 勝利 敗戦 防御率
・3、4月 3 1 1.67
・ 5月 1 0 2.57
・ 6月 0 2 6.05
・ 7月 2 1 2.25
・ 8月 4 0 1.09
菅野投手は各月安定していたが8月になってさすがに疲れが出たのか中日戦での最短KO等らしからぬ所を見せている。
特筆すべきは藤浪の8月でこれは月間MVP級の活躍である。
6月にプロの壁にあたったかと思われたがそこからの立て直しぶりは驚くばかりである。
藤浪投手はセンバツの春先と夏の甲子園の時期は強いというのが面白い。
5.チーム別対戦成績(セのみ)
小川 登板数 勝利 敗戦 防御率
・対巨人 2 2 0 1.93
・対中日 3 2 0 1.69
・対広島 6 5 1 3.05
・対阪神 3 0 2 6.00
・対横浜 2 0 0 4.20
菅野 登板数 勝利 敗戦 防御率
・対中日 3 2 1 5.71
・対ヤクルト 3 2 1 3・00
・対広島 5 3 0 1.65
・対阪神 3 0 1 4.50
・対横浜 2 2 0 4.15
藤浪 登板数 勝利 敗戦 防御率
・対巨人 1 1 0 0.00
・対中日 2 1 0 0.60
・対ヤクルト 5 2 2 2.70
・対広島 3 2 0 1.29
・対横浜 4 3 1 3.68
ここまで各種データを掲げてきたが、新人王争いという観点で見た場合、全く予想がつかない状況になっている。
7月までは菅野、小川の争いでほぼ間違いないと思っていたが、藤浪が確実にこの争いに割って入った。
藤浪は8月の好成績に加え、チーム別対戦成績にあるように、各球団に対してほとんど打たれていない印象だ。
3人の中では唯一全球団から勝ち星をあげている。
一番打たれている横浜戦では打線の援護もあってか3勝をあげているし、まだまだ勝ち星を伸ばす可能性がある。
対して菅野は小川、藤浪に比べてやや各チームに打たれている感じだ。
菅野の防御率が小川と変わらないのは交流戦の数字が良いからでここにきて1年のブランク、優勝争いによる疲労が蓄積されてきた可能性はある。
小川はと言うと、6月の段階でセ各球団相手の防御率が良いのを理由に勝ち星を増やしていける可能性を書いたが、思ったように順調に勝ち星を重ねた。
しかしここへきて勝ち運がなく、1日に登板する菅野に並ばれる可能性が出てきた。
優勝争いのエース級としてローテーションを守ってきた菅野。
エース球が軒並み故障した中、その代わりを務め堂々先頭を走る小川。
高卒ルーキーながら江夏以来46年ぶり二桁勝利をあげた藤浪。
いやはや凄い争いだが・・・。
3人の中で勝ち星で1勝でも上回れば、数値的に差がない現状ではその上回った投手が新人王に輝くだろう。
同数になった時が大変である。
年間活躍したという観点から見ると菅野、小川が相応しい気もするが、私的には藤浪が今の各種数字を維持した形で同数になれば藤浪優位と結論付けたい。
菅野、小川のみ同数の場合は・・・これは正直これから残り3~4試合の登板内容によって決まるだろう。
現状では互角としか言いようがない。
実際は投票する記者の価値観、考え方によって変わってくるので全く余談を許さない状況だ。
いずれにしても近年稀に見るハイレベルな争いである事は間違いなく、選に漏れた場合でも特別賞が出るのは間違いないだろう。
リーグ優勝と共に目が離せない今年の新人王争いである。