連日の世界バンタム級タイトルマッチ。
強い相手と戦い続けている山中慎介。
今日の相手もトップコンテンダーのマルコム・ツニャカオ。
35歳ながら経験豊富で全く油断ならない相手だ。
山中は初防衛戦のビッグダルチニャン戦で完全に優位な情勢の中、最終ラウンド無理に仕掛けていかなかった戦いぶりに対し、一部の人達から逃げたと、言われなき非難を浴びたのが影響しているのか、その強さの割に人気が追いついていない気の毒な選手だ。
試合は1ラウンドから気迫あふれるツニャカオが前に出てきて攻勢をしかける。
対する山中もツニャカオのスピードあるパンチを交わしながら反撃に出る。
まさか1ラウンドから打ち合いの展開になるとは思っていなかったので一気にアドレナリンが出てくる。
2ラウンドも同じような展開で試合は進むが、ツニャカオの動きがすこぶるいい。
そして迎えた3ラウンド、山中の左が炸裂し、ツニャカオダウン。
明らかに効いている。
さらにラウンド終了間際山中の連打でたまらずツニャカオダウンするもラウンド終了。
4ラウンドで山中フィニッシュブローまで行くか・・・と思ったら、ここからツニャカオが猛反撃に出て、山中にしばしばいいパンチを当てる。
驚くべき闘志だ。
ツニャカオは3ラウンドに受けたダメージを感じさせない。
4ラウンド以降も両者気迫あふれるボクシングを展開する。
ジャブ、フック、そしてアッパーを山中に浴びせる挑戦者マルコム・ツニャカオ。
同じくジャブ、左ストレート、ボディを打ち分けながら、カウンター気味に左を狙い続ける山中。
何ラウンドだったか忘れたが山中のパンチでツニャカオの眼の上が切れた。
そして迎えた第10ラウンド途中、眼の上の出血がひどくなり、ドクターに見てもらう。
ドクターストップによるTKOか!・・・と思ったが、ドクターはトリアージのように青い札を主審に示し、続行を認める。
何とかこのピンチを切り抜けたツニャカオだが、11ラウンドはポイントで負けている事が充分に判っているので、最後の賭けに出てくるが、逆に山中も反撃に出る。
そしてついに、最優12ラウンド。
コーナーから出てくる時、山中選手がセコンドに向かって両手を広げて決めてくる・・・と言ったような感じで、最後の戦いに出る。
ツニャカオも全くひるまず、反撃に出るが、山中の左が見事に決まる。
少しひるんだツニャカオに対して、山中ラッシュ!またラッシュ!
たまらずツニャカオダウン。
死力を尽くした戦いはここに終了。
判定でも勝利は間違いがなかったが、最終ラウンド果敢に倒しに行った山中。
やはり判定で勝つのとKOで勝つのとは印象が全然違う。
山中はまたも難敵を倒して3度目の防衛に成功。
ツニャカオも死力を尽くしたが敗戦。
両者互いに相手を称える、これぞスポーツマンシップ、フェアプレイの精神だ。
それにしてもこれほど強いツニャカオが12年間も世界タイトルに挑戦の機会さえ与えられてなかったというのは全くもって理不尽な事だ。
スピードも早く、パンチ力もあって最後まであきらめない姿勢は年齢を感じさせず、再び挑戦の機会を与えて欲しい。
簡単に挑戦できる選手もいれば、ツニャカオのようになかなか機会に恵まれない選手達もいる。
この不公平感をなくすのは、いかんともしがたい感じだ。
山中選手は本当に強くなった。
ディフェンスもオフェンスも申し分なく長期政権を狙える選手に成長した。
山中は統一戦を熱望しているが、そうなった場合亀田1号も対象になる訳だが、昨日の試合と比べてみると、まるで次元が違うので、勝負にならないのではないか。
リングに観戦に来ていた亀田3号は山中の強さに何を感じたのだろうか・・・。