1回戦屈指の好カード、浦和学院対仙台育英戦は期待以上の熱戦で見る方には面白い試合だった。
ただ、監督さんにしたら、二度と味わいたくないような辛い試合だっただろう。
共に相手を必要以上に意識してしまったのか、ノーガードでの打ち合いといった試合展開。
お互い“ハイ”な状態で渡り合う。
こういう試合展開になったらセーフティーリードなど無いに等しい。
1回裏で6対1とリードはしたものの、仙台の監督さんはこういう試合展開になる事を予感していたんではないだろうか。
それにしても1回裏だけで50球を超える球数を投げてしまったというのは、小島にとっては大きな誤算だっただろう。
異常な暑さの中、180球を超えた段階でついに身体が悲鳴をあげてしまった。
本当なら7回の先頭打者に四球を与えた所で投手交代だ。
しかし2番手以下の信頼性がやや足らなかったんだろう。
実際、仙台は7回、8回で大量点を取れるチャンスだった。
特に7回は四球、野選で無死1,2塁。
ここでベンチはわざわざ伝令を飛ばした。
打者と二人の走者を呼び寄せ作戦を徹底させるという珍しい光景だ。
伝令は「ファーストストライクでバント」だったと想像する。
そして初球。
小島の球は明らかに高いボール球。
打者はバントの構えから見送るが何と2塁走者が大きく飛び出しているではないか。
キャッチャー2塁送球で挟殺プレーでランナータッチアウト。
さらに1塁走者まで2塁でタッチアウトとなり2死走者なしとなってしまった。
3塁フォースプレイなので早くスタートを切りたい気持ちはわかるが、明らかに2塁走者は気負い過ぎていた。
まあ高校生だから気負うなという方が無理か。
8回もヒット、四球、死球で満塁となった。
明らかに小島は限界だ。
しかし何とここから小島、執念の全球ストレート勝負で仙台の4~6番が三者三振。
この場面は本日のハイライトだったろう。
これがなければこの試合はここまで評価されなかったかもしれない。
この執念の投球が、今日のこの対戦を皆の記憶に残る試合へと昇華させたのだと思う。
しかし小島君は全てのエネルギーをここで完全に使い果たしてしまった。
もう、9回ははじめから投げることなど無理だったのだ。
あの場面で急きょ登板した山口君は気の毒である。
身体の準備はしていたんだろうが、心の準備が出来ていなかったように見えた。
こうやって見ると、今日の浦和には勝ち目が少なかったように思う。
これまた急きょ登板って感じだった仙台の2番手馬場投手が落ち着いてからは打てる感じでなかった。
それぞれ1試合を消化した後で対戦したならもっと違った展開の名勝負が生まれたと思う。
改めて、甲子園は怖いなあ~と思い知った今日のこの試合であった。