世界フィギュアが終わりました、いつものようにエキシビションでの華やかな演技に魅せられ、フジお得意のボレロをバックに多くのカットで今大会を振り返る映像を最後に今シーズンが終わりました。祭りの後の寂しさが残りますが、来季は大切なオリンピック前年のシーズン。世界の勢力図はどのように変化するのでしょう。
それにしても女子フリーは壮絶な戦いでした。
上位の選手がほとんどミスらしいミスをしないハイレベルな戦い。
昨年200点を超えたのがトゥクタミシェワただ一人だったのに対し、今回は何と7人が超えてきました。
10位以内のメドベジェワ、ワグナー、ゴールド、本郷、デールマンがトータル自己ベスト、ポゴリラヤもSP自己ベストの貯金を守って初の表彰台。
男子は極端に言えば演技全体の素晴らしさより4回転をいかに正確に、しかも複数飛ぶかが前面に出すぎているように思いますが、今回の女子フリーはジャンプの質だけでなく演技全体にスケーターの個性が表れていて、正に百花繚乱。
心の底から楽しむことが出来ました。
日本の3人娘も頑張りましたが、ロシア、アメリカ勢のワールドに対する強い思いが少しだけ日本勢より上回ったのかな・・・というのが率直な感想です。
演技を終えた後の選手たちの感情の爆発を見るにつけ、今更ながらワールドはオリンピックと並ぶ別格の大会なのだと強く思いました。
それにしてもロシア・・・。
トゥクタミシェワもリプニツカヤもソトニコワもいない中、メドベジェワ、ポゴリラヤが表彰台、ラディオノワが6位と圧倒的な力を見せつけられた感じです。
メドベジェワに関してはGPシリーズが始まった頃より格段に成長した印象です。
このフリーについては私的にはさほど印象に残っていなかったんですが、今大会は素晴らしかったですね。
画面にくぎ付けになりました。
ロシア勢は身体的な成長と共に、少女から大人への狭間の中でスランプに陥る選手が多いですが、メドベジェワに関してはそんな心配は不要なのではと思いました。
セイラームーンはご愛敬ですね。
あの瞬間、日本のそこかしこでメドベジェワファンが増殖したことでしょう。
アメリカの二人は明暗分かれましたが、ワグナーの魂のこもった演技は凄かった。
ティーン全盛の現在、ワグナーは24歳。
25歳の浅田選手にも良い刺激になったと思います。
男子については羽生選手が左足甲の靭帯を損傷していたとの報道。
もはや4回転を1~2本跳ぶだけでは優位に立てない恐ろしい時代。
ジン選手のように4本跳ぶのは別格としても、3本しかも難度の高いクワドが要求される。
難度は高くなる一方ですが、人間、身体はそんなに飛躍的に頑丈にはなりません。
当然のことながら故障との戦いになります。
一度大きな怪我をしてしまうと、元の状態に戻ることはありません。
バンクーバーで巻き起こった4回転論争から僅か6年。
たった6年の間で急激に難易度は高くなり、その流れはますます加速する様相を見せています。
確かにハイレベルな争いは見ている者にはとても魅力的です。
しかしその影で選手生命を断たれてしまうかもしれないリスクと背中合わせの現状。
私は4回転ジャンプについては、何らかの制限を加えて行く必要性があると感じています。
それは直接的な制限(本数制限、年齢制限)だけでなく、全体の中でジャンプ、スピン、ステップの基礎点を見直すこともありえると思います。
いろんな考えがあるでしょうが、その昔、まだ4回転を誰も跳ばなかった時代。
やはりフィギュアスケートは魅力的でした。
選手の健康管理という側面から見た場合、後退という勇気も必要だと思う今日この頃です。