先日、表題の「空飛ぶタイヤ」を見てきました。
完璧に小説を読み切って、その印象がまだまだ強い段階での鑑賞。
どこに出しても恥ずかしくない、読んでから見る、パターンです。
池井戸氏の小説はテレビで多く映像化されていますが、どれもが一定以上の評価を得ているように、正にキラーコンテンツ。
氏の作品で初の映画化ですが、どのようにアレンジされているか興味深かったです。
前置きはこれくらいにして映画の感想を書きます。
基本的には小説を忠実に踏襲していました。
テンポがよく、120分というやや長めの上映時間は全く気になりませんでした。
本筋に関連したエピソードで、小説でかなりのページを割いて描かれていた部分を、映画ではカットしていますが、それはやむを得ないし、正解だったと思います。
ただ、監督はその部分を全く無視するわけにはいかないと考えたのか、多少そのことを匂わせるようにしています。
ただ、あまりにも簡単に解決させていて、えっ!そんなんあり?って感じだったので、これなら大胆にカットした方が良かったと思いました。
全体を通しても、顛末を全て知っているということもあって、上っ面を綺麗になぞっただけという物足りなさを感じてしまいました。
ドラマであれば数回に分けて細かく演出できますが、映画ではコンパクトにまとめないといけないので編集はかなり苦労したのではと推測します。
とは言うものの、役者陣の熱演は伝わってきましたし、小説未読ならば十分堪能できる内容だったと思います。
長瀬智也も赤松社長になりきっていましたし、個人的に、いつもリアル感が乏しい印象を持つディーン・フジオカも問題なく見られました。
まあ、あれですね、これだけ中身の濃い長編を2時間の尺で描き切るのは元々無理がありますね。
削るエピソードはほとんどないし、原作通りに映像化するならテレビの方が向いているでしょう。
この映画はとにかく小説読んでから鑑賞しようと決めていたので仕方なかった訳ですが、長編が忠実に映画化されている場合は、見てから読む方が得だということがわかったことは収穫でした。