影無茶のスポーツ24/7

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北京オリンピックの見方 聖火太陽に帰る 私的印象に残ったシーン・前編

北京オリンピックが終わった。

多くの問題が起きてしまった今回のオリンピック。

スポーツ本来の姿が失われつつあるのではと思うような出来事もあった。

大会通じて私はどこかにずっと重苦しさを感じていた。

それでもスポーツの良さを確かに感じることが出来る瞬間もあった。

全く私的な感想になるが、今回のオリンピックで強く印象に残った出来事やシーンを書いて記録しておきたいと思った。

この部分は今日の投稿を書き終えて最後に付け足しているが、思ったより書きたいことがあり、前後編に分けて投稿させていただく。

まずは前編。

最後までお付き合いいただければ嬉しい限りだ。

尚記載の順番に特に意味はない(順位付けはしていない)

■複合団体高梨沙羅選手2本目のジャンプ

スーツ違反で高梨選手1回目のジャンプが無効になった日本チーム。

泣き崩れる高梨選手だが、他の選手の頑張りもあって2回目に進出。

高梨選手はとても飛べるような精神状態ではなかったはずだが、2本目見事に98.5Mの大ジャンプを見せた。

2回目一人目の中では2番目の高得点。

最後エース小林選手が本日一番の大ジャンプで締めて4位。

高梨選手の本目のジャンプと他の選手の頑張りは心に強く刻み込まれる一戦となった。

■16年前の忘れ物を取り返す

女子スノーボードクロス決勝。

優勝したのはアメリカのリンジー・ジャコベリス。

実は16年前のトリノ大会。

同じスノーボードクロス決勝で断然リードだったが、最後のキッカーでやらなくても良いグラブトリックをやって転倒。

起き上がって競技を続けたが後続の選手に抜かれて銀メダルに終わっていた選手だ。

今回優勝したことでトリノの映像が何回も流れ、そうそうそんなことがあったと思い出していたが、何が凄いってトリノ以降バンクーバー、ソチ、平昌と全て出場して今回5度目のオリンピックだったこと。

当然年も重ねて36歳に。

当時の映像と比べて確かに年齢を重ねた本人がそこにいる。

トリノで十中八九手にしたのに、スルリと手のひらから零れ落ちてしまった金メダル。

その金メダルを今回手にすることが出来たのは夢のようだっただろう。

この話には余談があり、同じスノーボードクロス混合団体。

最後トップで滑走するジャコベリス。

最後のキッカーで何と、何と、何と~100万円が出ました!

じゃなくて、グラブトリックをやってのけた。

今回は転倒せずトップでゴールして2個目の金メダルとなった訳だが、どうしてもトリノの悪夢を払拭したかったんだろうな。

平野歩夢選手人類史上最高難度のルーティン

男子スノーボードハーフパイプ

ここに参加する選手は競技のイメージもあってヤンチャな選手が多い印象だった。

國保和宏選手の腰パン問題を思い出すし、女子では今井メロ選手も印象深い。

その中で最初からクールでスマートな印象を醸し出していたのが平野選手だ。

競技に対する姿勢は体操の内村航平氏と共通する物を感じる。

そんな平野選手が銀、銀、ときてついに今回金メダルを勝ち取った。

この時問題になったのが2回目の滑走。

アナウンサーも語っていたが人類史上最高のルーティン。

これが91.75という、審判居眠りしていたんじゃないのかって低得点。

平野選手も当然納得いってないが、静かな怒りを内に秘めて挑んだ3回目。

同じルーティンで完成度を高めるという、本人曰く「怒りが自分の気持ちの中で上手く表現出来た」という2回目以上の完成度。

誰も文句がつけようのない、これでもか!って滑走。

ある意味審判団も救った超絶滑走だった。

ショーン・ホワイトが参加するオリンピックで金メダルを取った意義は大きい。

平野時代の幕開けだ。

■これが羽生結弦の生きる道【4A< 10・00】

ある意味、ネイサン・チェンの金メダル、日本勢鍵山優真、宇野昌磨の銀、銅。

これらを消し去って、全て持っていってしまったのが羽生選手のフリー演技。

史上初めてクワドアクセルを跳んだことが認定された。

ジャッジペーパーに残る4A< Base Value10.00 の記述。

報われない努力もあるんだ・・・と語った羽生結弦だが、長い挑戦の歴史をライブで見てきて思うのは、間違いなくひとつの到達点に立った羽生の姿だ。

これほど見ている者の心震わせるスケーターはいなかった。

唯一無二の羽生結弦

今後どういうスタンスでフィギュアスケートに関わっていくのか。

それがとても興味深い。

■女子スノーボードビッグエア 岩淵麗楽の挑戦

東京オリンピックスケートボード女子パーク。

日本の岡本選手が大技にチャレンジしたシーンを覚えているだろうか。

惜しくも失敗したが、果敢に挑戦した岡本選手に他の選手が駆け寄り肩車をして健闘を称えたのを。

あの時に感じたスポーツ本来の姿。

今回北京でも再び同じような素晴らしいシーンを見ることが出来た。

岩淵麗楽選手が後3回宙返りという誰も成し遂げたことのない技を披露。

もう少しで成功という見事なチャレンジだった。

各選手が一斉に飛び出してきて岩淵選手を祝福。

あとで編集された映像でも、ほとんどの選手や関係者が岩淵選手のチャレンジを見て驚きの表情を見せたシーンが映っていた。

失敗に終わってもそのチャレンジ精神への称賛の表情。

再び見せてもらえたこれぞスポーツ。

スポーツはこうでなきゃって思わせてくれる、ある意味最も感動したシーンだった。

 

後編に続く!