来季にオリンピックを控えた今シーズン。
各選手はどんな思惑でファイナルを戦ったのか。
今日と明日、男女に分けて、今回の結果から感じた思いを書いてみる。
まずは男子シングル。
最終結果は以下の通り。
選手名の横の数字は 総合 SP フリー別の各得点。
優勝イリア・マリニン 292.12 105.43 186.69
2位鍵山優真 281.78 93.49 188.24
3位佐藤 駿 270.82 86.28 184.54
4位ダニエル・グラスル 254.96 81.76 173.25
5位ミハイル・シャイドロフ253.75 91.26 162.49
6位ケビン・エイモズ 238.63 68.82 169.81
数字的には低調な結果となった。
誰一人、パーソナルベストはおろか、シーズンベストも更新できなかった。
転倒も多く、スピン、ステップでレベルを取れないケースも目立った。
しかし、これには理由がある。
各選手が先を見据えて積極的に課題に挑戦したからに他ならない。
課題をクリアした場合もあれば、依然として宿題が残ってしまった場合もある。
順位は上に越したことは無いが、それはついてくる結果。
今回のファイナル、結果は第一義ではなかったと思う。
マリニン選手は、フリーで5種類全て4回転に挑んでくる超絶プログラム。
全てqマーク(1/4回転不足)か、<(アンダーローテーション)の判定だったが、そのチャレンジ精神には感服する。
彼はステップシークエンスでラズベリーツイストや、今年から解禁になったバックフリップなどをプログラムに取入れるなど、観客を楽しませることを第一に考えているように思う。
そうでなければ、演技のリズムを崩しかねないバックフリップなど入れてこない。
マリニンは既に唯一無二の選手だ。
日本勢では鍵山選手の調子がなかなか上がってこない。
それでも確実に2位まで持ってくる安定感。
なかなか出来るものではない。
私が昔から言っている、審判の選手に対する格付けである(と私は思っている)演技構成点ではマリニンと並ぶ、あるいは超える点数を確実に貰えており、課題はジャンプの安定度を増すことに尽きる。
全日本でどこまで立て直しているか注目したい。
鍵山選手に一歩リードを許している佐藤選手だが、元々鍵山と並んでホープと言われていた逸材。
今回フリーの技術点はマリニン、鍵山両選手を上回った。
演技構成点が両選手より劣ったため、フリー合計3位となったが、このGPシリーズと、世界選手権の代表になり審判団にアピール出来れば、格付けが上がり五輪でも表彰台のチャンスが出てくるだろう。
異論はあると思うが鍵山選手は小塚氏、佐藤選手は町田氏のタイプと思っている。
五輪ではマリニンも金を取りに来るので、今回のように5種全ては跳んでこない。
それでも、全てのジャンプをミスなく確実に跳んでくれば、誰も追いつけない。
マリニンは絶対王者なのだ。
そのマリニンに勝つためには。
鍵山選手はとにかくミスをしないこと。
マリニンがジャンプでミスをし、スピンやステップでレベルが取れなかった時に、鍵山選手がミスなく滑り切れば逆転の目はある。
佐藤選手については後半に3Aからのコンビネーションを2本入れており、かなりの得点源になっているが、これを1本クワドジャンプからの連続にしたい。
そうすることで、もう1段階得点アップが見込まれる。
審判にもっと名前を知ってもらえば、演技構成点はマリニン、鍵山以上の点を取れる可能性がある。
この3選手と、今回欠場したアダム・シャオ・イムファ。
この4名が表彰台を争うことになるだろう。
明日は女子シングルを。