宇野昌磨選手が今季世界最高得点107.72で首位発進。
パーソナルベストに僅か1.91に迫る高得点だ。
2位にも鍵山優真選手と日本勢が続いた。
ミスター・クワドアクセル、イリア・マリニンは技術点で宇野、鍵山を上回ったが、演技構成点は2人に及ばずトータル3位スタートとなった。
グランプリファイナルも順位こそ違えどこの3人が1~3位。
今の男子フィギュアスケートはこの3人が頭ひとつ抜けている。
それにしても宇野の演技は素晴らしかった。
見る者を魅了した。
曲は映画「Everything Everywhere All at Once」からの選曲でとても美しい曲。
私が大好きな、フィギュアスケートでもよく使われる「月の光」のアレンジ部もあり、宇野選手の雰囲気にぴったりで、ランビエールの振付がまた曲にあっている。
演者、振付、曲の全てがマッチした最高のプログラムだと思う。
いつまで見られるかわからないが見られる内に・・・。
今回、演技構成点は文句なしのトップ。
技術点でもマリニン選手に僅か0.81遅れを取っただけなので、フィギュアスケートがジャンプだけでなく総合芸術であることを示した格好だ。
ジャンプでも4回転フリップが実に加点4.56と滅多にお目にかかれない数字。
宇野の代名詞と言ってもよい4Fだがここにきて完成の域に入ってきた印象だ。
2位の鍵山も確実に次期エースとして成長を見せている。
鍵山の強みはどのジャンプも安定して高い加点を貰えること。
演技構成点も来年、再来年とさらに貰えるようになるだろう。
高橋、羽生、宇野と受け継がれてきた日本男子シングルの系図は今後も脈々と受け継がれていく。
SP3位に甘んじた(あえてそう書く)マリニンだが、インタビューでこの大会に出られるかどうか直前までわからなかった・・・的なことを語ってた。
そのせいかどうかわからないが、今回SPではクワドアクセルを跳ばなかった。
ステップシークエンスもレベル3だった。
それでも技術点トップはさすが。
フリーでは4Aを跳んでくるだろうが、3位発進がどんなプレッシャーとなるのか。
今のフィギュアスケートはジャンプの得点比率が高くなりすぎて、SPの得点差は大勢にあまり影響を与えない。
SPではジャンプをコンビネーション入れて3本しか跳べないが、フリーでは7本跳べるので、SP上位3名の得点差はないに等しいのだ。
SP上位3人のフリー滑走順は、宇野、鍵山、マリニンの順。
奇しくもSP1位の宇野選手が最初に演技を行う。
鍵山、マリニンは直前の選手の得点を目標に出来るメリットと、それを超えなければならないプレッシャーとの戦いと言うデメリットの両面がある。
宇野がどこまで高得点を叩きだして後続二人にプレッシャーを与えるか。
面白い滑走順となった。
1位宇野と2位鍵山の得点差は1.37。
2位鍵山と3位マリニンの差は僅か0.38。
3選手とも最初のジャンプをいかに決め切るか。
特にマリニンはクワドアクセルが決まるかどうか。
この成否が順位に大きな影響を与えるだろう。
マリニン時代の到来か。
宇野昌磨の世界選手権3連覇なるか。
安定感抜群の鍵山優真初優勝がなるのか。
ハイレベルの戦いは続く。
最後にカナダの観客はどの選手にも大きな声援と、技が決まった時の大歓声などとてもフェアな応援ぶり。
選手のハイパフォーマンスが生まれるのもこの声援あってこそだろう。
選手と観客とが一緒に盛り上げる。
これがスポーツの素晴らしい所というのを改めて認識した次第だ。