以前から幾度も書いているが、マラソンの中でこの大阪国際女子が一番好きだ。
当初から画期的な中継を試みるなど、工夫がこらされていた。
10位あたりのランナーから、バイクで先頭まで走って各選手の状態を流したり、好みはあるだろうが、レース中にアルフィーの音楽をあてることなど斬新だった。
レース自体劇的なものが多く、第1回からしてリタ・マルキシオ選手という全く無名の選手が優勝し、通訳が居なかったのでインタビューが大変だったと記憶している。
マルキシオ選手が先頭集団を一気に抜いた時、他の選手が驚いて一斉に横を見たのが強く印象に残っている。
それ以降も増田明美さんの途中棄権、ロザ・モタさんの雪のレース、リサ・マーチンさんの当時としては圧倒的に速かった記録、リディア・シモンさんの3連覇、福士加代子さんのゴール前の転倒、そして記憶に新しい前田穂南選手の日本最高記録の誕生など、あげだしたらキリがない。
昨年も陸上サークル出身の小林香菜選手が猛烈な追い上げで、パリ五輪代表を獲得。
その勢いでパリで入賞を果たした。
様々なドラマを生んだ大阪国際女子マラソン。
でもって、今大会もまたまたニューヒロインが誕生した。
その名は矢田みくに。
10000m世界選手権出場など、名前は知られていたが今回マラソン初出場。
そんな矢田選手が、初マラソン最高記録を達成。
国内では前田選手についで史上二人目のサブ20を達成したのだ。
この矢田選手の走りが、陳腐な言葉だが感動的なものだった。
25キロ付近からサブ20の外国選手3人と合計4人で先頭集団を形成。
結果的にこの4人がゴール近くまで競い合う訳だが、矢田選手は幾度も幾度も、集団から置いていかれそうになるところを、脅威の粘りで集団の先頭に立つなど、最後の最後まで初マラソンとは思えない粘りと頑張りを見せた。
有森さんに、こんなに頑張る選手、見たことがない・・・とまで言わしめたのだ。
日本記録を更新した前田選手も、ペースメーカーより前に行く積極的なレースぶりが見事だったが、矢田選手が凄いのは、終始外国人選手との駆け引きの中で、最後まで見せ場を作ったこと。
この走りには、繰り返すが見ていて感動した。
レース中、苦しい表情も見せていたが、コーチや仲間に言われた、楽しく走ることを実践した結果なのだろう。
楽しく走るって簡単なことではないが、あまりに自分を追込むと本来の走りが出来なくなってしまう。
レース結果に満足出来ない選手が、号泣するシーンをよく見かけるが、気持ちはわかるが、もっと楽に走ろうよ・・・て思ってしまう。
その点矢田選手はあの高橋尚子さんを彷彿とさせるメンタルと走り。
ゴール後のにこやかな顔、フォームの美しさ、Qチャン的新星現るって感じなのだ。
ロサンゼルス五輪への道はまだまだこれからだが、今回のように伸びやかで、諦めない走りを見せてくれれば結果は自ずとついてくる。
正に新星誕生。
そんな印象を持った今回のマラソンだった。