大阪国際女子マラソンが開催された。
このレースで前田穂南選手が偉業を成し遂げた。
最初に1月27日時点で2時間20分を切った日本人選手と記録を記する。
野口みずき 2時間19分12秒 ベルリン 2005年
新谷仁美 2時間19分24秒 ヒューストン 2023年
渋井陽子 2時間19分41秒 ベルリン 2004年
高橋尚子 2時間19分46秒 ベルリン 2001年
今回前田選手は2時間18分59秒で走りぬけ19年間止まっていた野口選手が作った記録を破り時計を動かしたのだ。
何が凄いと言ってこの記録が日本国内のレースで出たことが凄い。
上記のように過去の4選手は全て国外で出した記録。
今まで日本国内で行われたレースの最高記録は2020年に名古屋ウィメンズで一山麻緒選手が出した2時間20分29秒。
この時のレースは東京五輪MGCファイナルチャレンジ最終戦だった。
1カ月前に大阪で松田瑞生選手が出した代表確実と言われた記録を一山選手が当時の国内最高記録で走り逆転で代表に選ばれたのは記憶に新しい。
今回その国内最高どころか、日本最高記録も13秒更新する大記録が生まれたのだ。
確かに大阪はアップダウンも少なく記録の出やすいコースだが、何度も曲がる地点があり真っすぐに走るところが意外に少ない。
なので21~23分台は出やすく自己記録を更新する選手も多いが、20分の壁は大きいと思っていた。
しかし今回その壁を前田選手が大きく破ってみせた。
レースのポイントは何と言っても20キロを過ぎた中間点で前田選手がペースメーカーを置いてひとり飛び出したことだ。
全てのマラソンを見ている訳ではないが、こんなに早くしかもそれ以降ペースメーカーに追いつかれること無く走り切るのは見たことが無い。
何と勇敢な戦略。
ここで飛び出したことがレースだけで言うと日本最高記録が出た最大の要因だ。
38キロあたりで少しペースが落ち、記録更新に黄信号がともったが、すぐに持ち直して走り切った。
この積極的な走りが世界と戦うためには絶対に必要だ。
前田選手の普段のインタビューを見て感じたこととして、今回レースの解説陣に野口、高橋、福士、渋井、有森、千葉、そして裏実況に増田のそうそうたるメンバーが集結していて誠に賑やかで楽しかったが、前田選手はこれらレジェンド達と違い、か細い印象で、どこにこれだけの力が備わっているのかと思う。
本人はレース後アレと発した目標は日本最高記録を達成することと明かしたが、本当に見事な走りだった。
レース途中で2度もスペシャルドリンクを取り損なうハプニングもあったが、それによる精神的ダメージを全く感じさせなかった。
この記録は名古屋を走る選手たちに大きなプレッシャーを与えたに違いない。
東京五輪33位の借りをパリで返す。
その実現にための大きな関門を突破したのは間違いない、。