パリ五輪マラソン代表選考レースのグランドチャンピオンシップ(MGC)が行われた。
残念ながら仕事でレースは見られなかったが、男子は川口優輝選手が大逃げでボストンの再現を図って盛り上がったようだ。
あいにくの天候は選手の走りに大きく影響を及ぼしたに違いなく、優勝タイムは2時間8分57秒という平凡なもの。
ここまでタイムが下がるとほとんどの選手にチャンスがあったと思われ、千載一遇のチャンスを活かして代表の座をつかんだのが今回の二人だったと言えるだろう。
優勝した小山直城、2位の赤崎曉両選手共に戦前はそれほど名前が挙がる選手ではなくダークホース的な存在だったと言える。
レースを見ていないのであれだが、天候不良と川口選手の大逃げでペースを作れない選手が多かった(と思われる)中、ビッグチャンスを掴めたのは凄い。
有力選手では大迫選手こそ3位に粘り込んだが、日本最高記録保持者鈴木健吾選手はレース途中で棄権。
その他代表内定二人の持ちタイムを上回る選手は大勢いたが力を出せなかった訳だ。
これで代表3人の内2人までは確定したが残る1枠を掛けてファイナルチャレンジ大会が今後3レース行われる。
ここで男子は2時間5分50秒を切ることが要求され、複数の選手が設定タイムを切った場合は記録最上位の選手が3番目の代表の座をつかむことになる。
設定タイムを上回る選手が居なければMGC3位の大迫選手が代表の座を得る。
大迫選手にとっては東京五輪と同じシチュエーションだ。
前回は翌年の東京マラソンで設定記録はおろか当時の日本最高記録を出して3人目の代表に滑り込んだ。
今回も待つか出るかという選択になるが、おそらく来年3月3日の東京マラソンに出る道を選ぶと思われる。
今回内定を得られなかった他の選手も当然3枚目の切符を目指して参戦する。
今や条件さえ揃えば2時間5分50秒は難しいタイムではない。
日程も決まっていて、五輪への最終便となるファイナルチャレンジにピークを持ってこれないなら世界には通用しない。
パリ五輪出場への意欲十分の大迫選手。
果報は寝て待てとはいかないだろう。
今日のMGCは条件があまりに悪かった。
代表に内定した二人も今の持ちタイムでは世界と戦うのは正直厳しい。
ぶっつけではなく、ファイナルチャレンジでなくて良いので他のマラソンやハーフマラソンで持ちタイムを縮めてパリに向かって欲しい。
とにかく世界では最高記録がついに2時間を切るところまで来ている。
日本では2002年に高岡寿成氏が2時間6分16秒の当時の日本最高記録を出してから設楽悠太選手が5秒更新するまで実に16年かかってしまった。
2002年では世界最高記録との差は僅か36秒だったのに、16年の停滞の間で世界は2時間1分台に突入しその差は4分以上に開いてしまった。
設楽選手の記録以降日本でも時計が動き出したが、まだまだ追い付くのは難しい。
しかし20世紀までは間違いなく日本選手も世界を相手に戦えていた。
東京五輪の選考方法として体系化されたMGCが選手のレベルアップに寄与したのは確実。
パリ五輪では希望が見える走りを見せて欲しいと願うばかりだ。