武豊のここ数年の成績は全盛期を知る者にとっては信じられない凋落ぶりであった。
勝ち星は伸びない。
大レースで勝てない。
人気馬でもこない。
武豊は終わった・・・そう考えている人も多いだろう。
そんな武ジョッキーだが今年は勝ち星こそ全盛期に遠く及ばない物の、
昨年までとは一味違う所を見せてくれているように思う。
今日キズナで京都新聞杯を豪脚で制し、ダービー制覇に向けて堂々と候補に名乗り出た。
今年はすでに重賞4勝目。
早くも昨年の数を上回った。
特徴的なのはディープの子で3勝をあげている事だ。
武騎手自身が一番ディープに似ているというトーセンラー。
そして久々にダービーを彼に意識させるキズナ。
武自身もディープの子という事で特別な思いがあるだろう。
さて今日のキズナ。
最後方からのレースで3コーナーから進出し直線豪脚で前の馬達をごぼう抜きにして勝利した。
どこかで見たような・・・。
そう、まさしくディープのようなレースぶりだったのだ。
ディープインパクトと言えば「飛んだ」という言葉が思い出されるが、
今日のキズナも父を彷彿とさせるレースぶりで後方から「飛んで」来たのだった。
しかしこれで本当にダービーで勝てるのか?
武騎手が最近乗れなくなったと言われる原因は、もちろん落馬による負傷の影響も大きいだろう。
しかし私はディープの幻影に取りつかれた事も近年の不振の大きな要因とずっと思っている。
ディープのように異次元の脚を使って直線でごぼう抜きにする快感は一度経験すると忘れられないと思う。
ウォッカはまだそれでも武騎手の期待に応えた方だと思う。
しかし、ディープやウォッカのような馬は10年に1頭出るか出ないかだ。
負傷の影響、ディープの幻影、乗り馬の質の低下。
これらの要因が重なって最近の不振につながってしまったのだろう。
今日のレースでキズナはディープのように飛んで・・・見せた。
本番で今日のようなレースをしてしまうのか、それとももっと好位につけて、レースを進めるのか。
もし本番でも後方から行くのであれば、キズナのダービー制覇の可能性は限りなくゼロに近づく。
そんな気がしてならない。
武騎手には再び輝いて欲しい。
岡部騎手は50代になっても勝ちまくっていた。
時代が違うと言えばそれまでだが、一世を風靡した武騎手がこのまま衰えていくのは絶対に見たくない。
真の復活を望む。