江夏の21球。
小林の14球。
あまりにも有名な日本シリーズにおける名勝負だが、今日の9回表、菅野がライオンズの代打片岡に投じた10球も名勝負の仲間入りと言っても過言ではないだろう。
登板の度に100球を超えたあたりで俄かに打たれ、後半に課題を残す菅野が過去最長、ライオンズ3番栗山から始まる好打順の9回表のマウンドに立った。
得点1対1。
9回のマウンドにいる菅野を見て期待と同時に不安を覚えるファンも多かったのではないか。
しかし栗山セカンドゴロ、オーティーズライトフライで簡単にツーアウトを取る。
よし!このまま最終回突入か・・・と思った所で打者ヘルマンに1ボール2ストライクと追い込むも中右にはじき返されツーベースヒットを許してしまう。
次打者坂田にはやや制球が乱れ、最後は明らかに塁を埋めるフォアボール。
ここで迎えたのが代打片岡。
ここ2年は怪我に悩まされて出場機会が激減しているが、それまでは4年連続盗塁王、WBCでも活躍しライオンズを支えた名選手だ。
こういう場面では怖い。
ここからの菅野の熱投が凄かった。
1球目スライダー:ボール
2球目シュート:きわどい球だったがボール判定:2ボール。
満塁にはしたくない。
ここで川口コーチマウンドへ、一息入れる。
続く3球目のスライダーは見逃しストライクで2ボール1ストライク。
4球目も見逃してボース2
5球目はストレートが高めに浮いてボール:3ボール2ストライク。
走者はスタートを切る為、長打が出れば2点ビハインドの可能性。
甘い球は投げられない。
かと言って、四球を出せば満塁だ。
そうなると菅野交代の可能性がある。
せっかくここまで頑張ってきたのに、ここを抑えるのと抑えないのでは雲泥の差だ。
6球目外角低めファール
7球目内角ストレートファール
8球目外角スライダーをまたファール
ここまでくれば打者はたいがいのボールは当てる事が出来る。
技術を超えた部分だ。
菅野も際どいコースを突きながら片岡を打ちとろうと投げ込んでくる。
何という新人だろう。
普通なら明らかにボールと判る球を投げてしまう場面だがそうはならない。
ファールの中には打ちとった!と思った物もある。
僅かに1塁線を切ってファールになった時はあ~!と声を張り上げてしまった。
球場内の緊張感は極限まで達する。
もちろんテレビ観戦の私も手に汗握る。
間違いなく今日の試合の最大のヤマ場だ。
9球目外角をこれまたファール。
片岡スイングが鋭くなってくる。
もう固唾をのんで見るしかない状況。
そして迎えた10球目。
打者の内角からストライクゾーンに入るスライダー!
片岡見逃す・・・。
球審有隅ストライクの判定!!
やったー!三振スリーアウトチェンジ。
菅野ガッツポーズ。
片岡え~~!という表情。
渡辺監督も抗議するが判定翻るはずもなく菅野ピンチを自らの投球で切り抜け9回表0点に抑える。
いやあ、凄かった。
おそらく菅野自身今日の片岡との対戦は生涯忘れられない、一つのターニングポイントになった事だろう。
菅野結局9回を投げ切り球数も136球、被安打6、三振12を数え与えた四球は僅か2個。
今季K/BBが5.36、K/9が9.37とジャイアンツ先発陣でトップ。
防御率も杉内を抜いて2.54と内海についでチーム2位。
勝ち星こそ付かなかったがもう誰もが認める右のエースだ。
しかし、9回裏先頭バッター松本の3ボール2ストライクから最後の球、ありゃ~ボールだぜ。
ノーアウト1塁となる所を三振ワンナウトは大きな違いだ。
有隅、渡辺監督の抗議で借りを返したんじゃないだろうな~。
ノーアウト1塁でイシイオブゴッドならチャンスを広げてサヨナラ勝ちというのが見えたんだが。
菅野に6勝目が転がる所だったのに・・・。
まあそれでも阿部神話は継続出来たし、パ・リーグ1位2位のチームに3勝1敗なら良しとしよう。
天敵岸には、またも自信をつけさせてしまったのだけがちょっと問題だが・・・。
これは何とかしなければならないな~。
まあ負けなかったので良しとしよう!