真打ち登場といった感じで浅田選手が競技生活の続行を宣言しました。
私の過去の記事をご覧いただいた方ならご存知だと思いますが、私の見立ては競技生活から退くだったので、はずれてこんなに嬉しいことはありません。
ただ本人の言葉にもあるように、実際のところ出来る、出来ないの繰り返しだったようです。
復帰を前提とした休養ではなかったので、本来なら来シーズンに向けて出遅れるのが普通です。
しかし驚きましたねえ。
結果として本格的に練習を再開していた訳ですが、それ以前にテレビで幾度か見かけた浅田のふっくらした表情と違い、会見に出てきた彼女はすでに引き締まっていて、表情も勝負師のそれに戻っていました。
ハーフハーフでなく100%復帰に向けて歩んでいる事は十分に見てとれました。
今回浅田選手の復帰は各方面でプラス効果をもたらしてくれるでしょう。
メディア関係は諸手を上げて歓迎一色なのは当然として、フィギュアスケート界においてもあらゆる面でプラス効果が期待出来ます。
最近ティーンの台頭が進み、フィギュアスケートが一時の器械体操競技のように女性が持つ美しさの表現から離れていくのではないかという危惧がありました。
15、16、17と私の人生・・・いや・・・競技人生がどんどん低年齢化して、二十歳すぎたらもう燃え尽きてしまう。
そういった流れが出来つつある最近のフィギュアスケート女子だったと思います。
もちろんオリンピック翌年という事も大きな要因ですが、総合的な美しさよりも、ジャンプさえ跳んで回って降りてくれば極端な話転倒しても高得点がとれる今の採点では成熟した大人の女性よりも、軽やかにジャンプを跳ぶティーン達が有利な状況だったことは否定できません。
そういった時代の中に帰ってくる浅田選手。
彼女は「大人の滑りが出来れば・・・」と発言しました。
意識しているかどうかは別にして、この言葉は浅田のプライドだと思います。
本人はそこまで思ってはいないでしょうが、「これが本当のフィギュアスケートというものを演じたい」と言ってるように感じました。
実際浅田選手の復帰でティーン化への流れに対してはひとつくさびを打つことが出来ます。
これは他国の同年代選手達への励みにもなりますし、ティーンの選手達にとっても大きな目標に成りえると思えます。
トゥクタミシェワ、ラディオノワ、ソトニコワ、リプニツカヤなどは年齢よりも十分大人の演技を見せていますが、やはり背伸びした印象は否めません、(トゥクタ選手はちょっと例外・・・ですかね)
彼女たちもまた浅田選手の演技はひとつの手本となるでしょう。
女子フィギュア界にとって、大人の女性でも目標を見つけられる可能性を高めることは大きなメリットだと考えられます。
もちろん村上、宮原、本郷、樋口をはじめとする日本選手達にも浅田の復帰は大きな影響を与えるでしょう。
シビアに書けば世界選手権代表争いに大きなライバルが出現する訳ですが、それ以上に彼女達のレベルアップが期待できるというのは日本女子の層をさらに厚くする点において素晴らしいことです。
ピョンチャンまで3シーズンという時期も最高のタイミングだと思います。
浅田選手に話を戻します。
彼女は「最低でも昨シーズンの世界選手権のレベルまで・・・」と話しています。
会見での表情、体型など見ていると、今の段階で早くも相当滑りこんでいることが伺えます。
来シーズンのルール変更も考慮しないといけませんが、少なくとも練習段階では目標レベルまで戻るのはそう難しいことではなさそうです。
彼女はフィギュアスケートの申し子です。
ここまで培ってきた物はそう簡単に失う事はありません。
問題は試合勘でしょう。
練習と試合は全然違うのは言うまでもありません。
ピョンチャンは頭にないというのは半分本音だと思います。
まずは来シーズンの世界選手権が大きな目標になり、そこで結果が出ればいよいよピョンチャンに向けて綿密な計画が立てられる事になるのでしょう。
ここで問題となるのは来年の世界選手権を一里塚とするのか、再来年まで幅を持たせるかの目標管理です。
もし前者なら既に出られる要件を満たしているのであればGPシリーズは出るべきでしょう。
日本選手権一発勝負で代表の座を狙うのは少しリスクがあるように思えます。
もちろん地方大会に出ることで試合勘はある程度戻るでしょうが、選手権前にそれなりの大会に出ておいた方が良いでしょう。
佐藤コーチが慎重な姿勢なのは当然ですが、100%前を向いた浅田選手ですので佐藤師の心配は杞憂に終わると思います。
1年の充電を経てリンクに帰ってくる浅田選手。
来シーズンどんなプログラムを見せてくれるのか。
今からワクワクドキドキです。
重大な決断を下した浅田選手に心から拍手です。