押しも押されぬ女子スキージャンプ界の女王・・・のはずでした。
大事な大事なオリンピックシーズン。
その立ち位置は不動だとほとんどの人が疑うことはなかったと思います。
昨シーズンまで重ねた勝利数は男女合わせた歴代最多タイの53勝。
最多記録の更新は時間の問題というか、あっさりと思っていました。
しかし何と、今シーズンここまで優勝ゼロ。
ノルウェーのマーレン・ルンビ選手とドイツのカタリーナ・アルトハウスの二人が優勝を分け合っており高梨が出る幕は正直ありませんでした。
高梨はW杯で過去87戦して(個人戦のみ)53勝なので6割を超す勝率は驚異的ですが、昨シーズン2月16日以来9戦勝利がありません。
逆にルンビはここにきて3連勝と絶好調でこの勢いのまま平昌に入っていきそうです。
ジャンプ競技はシーズン内で調子の波が変動することは稀で、オリンピックシーズンに入って調子を一気に上げてきたルンビとアルトハウスは本番でも調子を落とすことはなかなか考えにくく、高梨より金メダルを取る確率は高いと言わざるを得ません。
とは言う物の、オリンピックには魔物が住んでいるのもまた事実。
いつ牙をむいてくるかは誰も予想できません。
前回大会最も金メダル確実と言われた高梨選手はその魔物に飲み込まれ金メダルはおろか表彰台にも上れなかったという悲哀を味わっています。
第9戦札幌大会でアルトハウスが失敗したのも、近づく本番へのプレッシャーが原因としたら・・・。
ソチで高梨を襲った目に見えない力が今回は高梨に微笑む・・・事だってあるかもしれません。
そうです、勝負事と男女の仲は終わって見ないとわかりません。
あと、ご覧になられた方も多いと思いますが、スキー競技の強化本部長皆川賢太郎氏。
そう、あの上村愛子さんのご主人ですね!
氏はサンデーモーニング名物スポーツコーナーにゲストで出て自信ありげに「秘策がある」と、本番では逆転して金メダルを取れる的な話をしていました。
はったりを言うような人柄ではないと思われ、その言葉を信じたい気持ちも湧きあがってきました。
それが早くも現れたのか2位になった試合では前傾を深くして着地ぎりぎりまで飛型を保ち最後テレマークも入れて高得点をたたき出しました。
確かにアルトハウスが失敗したのは事実ですが、高梨自身もブレイクスルー直前という状況だったように思えます。
私は高梨が金メダルを取るならばそれはやっぱりソチでなければならなかったのだ・・・と思っていました。
しかし、皆川氏の言葉、直後の大会の2位、追う物の強み、経験の豊富さ。
これらが全てプラスの要素に働いていくのでは・・・。
この僅か2日間でそういう希望を持てるようになりました。
こうなれば昨シーズンとはいえ平昌のジャンプ台を経験して優勝していることもプラスに考えられます。
どうやらソチの忘れ物を取りに行く準備は着々と進行していたようですね。