井上尚弥はコロナの影響を最も受けた内の一人と言えるかもしれない。
本当ならば4月25日ラスベガスでWBO王者ジョンリール・カシメロと統一戦を行う予定だったのはご存知の通り。
それが世界的なコロナ禍により延期されただけでなく日程が決まらない。
試合の延期中止が相次ぎ、当初見込まれた収入が得られていないことで、ファイトマネーが減額されるなどの可能性が出てきて交渉が暗礁に乗り上げた模様だ。
少しの延期ならドネア戦の疲労が抜けて、井上にとってはかえって良いと思っていたが、どうやらカシメロとの対戦はキャンセルになることが真実味を帯びてきた。
それと言うのも、カシメロが9月26日にWBO防衛戦としてガーナ国籍のデューク・ミカーと戦うことをアメリカの興行大手が発表したという事実。
カシメロも長くラスベガスに滞在し相当フラストレーションも溜まっていただろう。
井上戦の目途が立たないなら、いつまでも待たずチャンピオンとして防衛戦を選ぶことは当然あり得る。
当初見込んでいたファイトマネーが入らないならなおさらだ。
現時点で正式発表ではないが、トップランク社のボブ・アラムも井上の新たな対戦相手としてジェイソン・モロニーの名を掲げたようで、どうやらその方向で進んでいることが確実な情勢だ。
コロナという未知のウィルスが相手なので致し方ないが、これは井上にとって残念極まりない結果と思える。
カシメロは表向き強がりを言ってるが、井上に勝てる可能性は限りなく低く、他の選手を相手に防衛して箔をつける方が良いと考えても不思議ではない。
表向きは井上が逃げたなどギャアギャア叫ぶ可能性はあるが。
一番得をしたのはモロニーということになろうか。
WBSSでエマニュエル・ゴンザレスに敗れ、本来なら井上戦の実現可能性は限りなくゼロだったはずだ。
それが一転対戦出来る。
負けても失うものはない。
井上はカシメロに勝って3団体のベルトを統一し、後はウーバーリのWBCだけとなるはずだった。
それが単純なタイトルマッチに変わってしまう。
よもや負けることはないが、限りあるボクシング人生の中で1戦遠回りしてしまう感は否めない。
それと気になるのはIBF。
確か統一戦ということで井上の指名試合を待ってくれたと記憶している。
おそらくアラム氏はその辺しっかり考えて契約していると思うが、そうなればモロニー戦の次はマイケル・ダスマリナス戦となる可能性が高い。
となればWBC統一戦はいったいいつになるのか。
WBOのベルトも一から交渉し直しだ。
モンスター井上でもどうにもならない相手。
コロナが早くおさまってくれることを祈るしかない。