ついにWBOがジョンリール・カシメロの王座はく奪を発表した。
カシメロのケチのつけ始めはギレルモ・リゴンドーとの防衛戦。
確かにリゴンドーが逃げるばかりで戦いにくかったことには同情するが、とんでもなくつまらないタイトルマッチを演じてしまった。
元々この対戦自体が紆余曲折を経て元の鞘に収まった試合。
対戦相手がリゴンドーからノニト・ドネアに変わり、それがキャンセルとなって再びリゴンドーと対戦することになった訳だがこの試合でカシメロの評判がガタ落ちになったことは否めない。
その後はポール・バトラーとの対戦をドタキャン。
この時はタイトルを剥奪されずに済んだが、延期された先日のバトラー戦を今度はイギリスのボクシング管理委員会が禁止しているサウナでの減量を行ったとして試合中止。
暫定王座決定戦としてバトラーはフィリピンのジョナス・スルタンと戦い判定で勝利。
カシメロの王座はく奪によりそのまま正規チャンピオンへと昇格した。
コロナ禍が始まる前、ビッグマウスで井上を挑発し続けたカシメロ。
結局井上との対戦は叶わずバンタム級統一戦線から離脱することになってしまった。
井上尚弥にとってはカシメロのはく奪、バトラーの世紀王者認定は追い風だ。
もしWBOがバトラーとカシメロの統一戦を指示していたとしたら4団体統一は来年以降に持ち越しとなっただろう。
井上がそこまで待つのかどうかは正直微妙だったと思う。
スーパーバンタムに階級を上げる可能性も有り得た訳だ。
しかしバトラーが正規王者になった今、6月のドネア戦をクリアすれば、いよいよ年末に4団体統一戦を組む環境が整うことになるのではないか。
もちろんドネア戦をクリアすることが絶対条件だが、4団体統一が形として見えてきたことは井上にとって何にも代えがたいモチベーションとなる。
前回の対戦以降の両者の対戦相手を比べるとドネアの方が上という声もあるが、それはたまたまマッチメイクがそうなった訳で、井上がドネアと対戦した2選手と戦っていたとしても問題なく倒していただろう。
確かにドネアは強敵だが、前回井上は3R以降片目で戦っていたようなもの。
同じパンチは貰わない。
どのような展開になるのかは井上の作戦によるが、判定に持込んでも良いくらいの気持ちで戦うはずで、そうなるとスタミナに問題があるドネアの勝利は難しい。
従ってKO、判定いずれでも井上の優位は動かない訳だ。
バンタム級のランキングを見ると、既に井上との勝負付けが終わった選手が目立つ。
リング誌のバンタム級のランキングを見ても井上がチャンピオンで、以下ドネア、カシメロ、ロドリゲス、モロニー、井上拓真と並んでいる。
今回WBO王者になったバトラーはリング誌では10位だ(多少上がるだろうが)。
ドネアに勝って、年末に向けてバトラーとのマッチメイクが成ることを祈る。
井上尚弥には何としても日本人初の4団体統一王者になって欲しい。
それを土産にスーパーバンタムに転向だ。
WBAスーパー、IBF王者 井上尚弥 22戦22勝(19KO)
WBC王者 ノニト・ドネア 48戦42勝(28KO)6敗
WBO王者 ポール・バトラー36戦34勝(15KO)2敗