WBSS決勝戦が今終わりました。
もう見るだけで疲れ切ってしまいました。
どのような結果を望んでいるかによってこの試合の印象は大きく変わるでしょうが、フルラウンドずっと、これだけスリリングで目が離せない試合はそうはありません。
やはりノニト・ドネアは只物ではありませんでした。
入場時の穏やかな顔が印象的で、もしかしてこの大舞台の決勝で井上尚弥と戦うことを自らの最後の花道と考えているのかなって思ってしまいました。
いやいや全然そうではありませんでした。
最高の仕上げで決勝に臨むことが出来た自信の表れだったんですね。
力まず、緊張もせず、戦える!という余裕の笑みだったことが試合開始後すぐに思い知らされました。
“フィリピーノ・フラッシュ”ドネアが、持てる強さに経験という武器を加味して井上に襲いかかってくるのです。
フェルナンド・モンティエル戦で見せた、左フック一閃での戦慄なノックアウトは脳裏に焼き付いています。
井上尚弥も戦前から相当警戒していました。
36分間戦い抜くと語っていましたがそれが現実になりました。
顔をカットしたのは初めて。
ドネアは左フックだけでなく、右ストレートも重くて伸びてくる。
ズドンズドンと大砲をぶっ放してくるような感じ。
これに対し井上はパンチスピードはドネアに優りますが、ドネアが前に出てくることもあり、最大の威力をドネアに与える寸前にパンチが当たってしまう感じ。
決定的なダメージを与えるには至りません。
いつもに比べボディへのパンチも極端に少なかったですね。
ほんの少しですが井上が負ける姿を想像してしまう程の苦戦。
ちょっとリスペクトしすぎたんでは・・・と思ってしまう状況。
しかしそんな試合でも井上はやはりモンスターでした。
勝負を決定的にするための終盤三つのラウンドを明確に取ることが出来ました。
11Rには井上のボディが炸裂し、ドネアたまらずダウン!
その後も井上が攻勢に出ますが、双方力の限りを尽くして試合終了。
その時点では誰の眼にも井上の勝利は明らかでした。
試合後お互いに健闘を称えあう姿は感動しました。
早いラウンドで圧倒的な強さを見せてノックアウトで勝利するのも醍醐味ですが、今日のような試合もこれぞボクシングと言える中身の濃い試合。
井上とドネアだからこそ出来た試合内容ですね。
しかし、今日の試合を見て打倒井上を目指す選手は活気づくでしょうね。
おそらく井上恐るるに足らずという風潮になるでしょう。
一時的には。
今月エマヌエル・ロドリゲスとルイス・ネリの注目カードがあります。
もしネリが勝てば、井上がトーナメントで倒したパヤノとロドリゲスをネリも倒したことになり、井上陣営も無視できないでしょう。
井上、ネリ戦には拒否反応を持つ人も多いと思いますが、ゾラニ・テテとネリで挑戦者決定戦というケースもあるかもしれません。
※どうやら勝者は弟拓真に勝利したウーバーリに挑戦するようです。
まだ見ぬ強豪も出てくるでしょう。
しかし今日、ノニト・ドネアというレジェンドを相手にフルラウンド戦った経験は何事にも代えがたい。
井上ならこの経験を活かし、更に強くなることは間違いありません。
次の相手が誰になるのかわかりませんが、相手が甘くかかってくると再び井上が早い時間で相手をリングに沈めることになるでしょう。
まずは今日の疲れを完全に取って、カットした目の上の傷も万全にしてください。
※ドネアが二重に見えたと試合後語っていますので目の方がが心配です。
その上で、来年からは主戦を米国に移して次のステージが始まります。
第2章に入るモンスター井上が作る伝説をこれからも見続けられるのは幸せです。
いやあ、それにしてもドネア本当に強かった。
WBSS王者・WBAスーパー・IBF世界バンタム級チャンピオン
井上尚弥 19戦19勝(16KO)
ノニト・ドネア 46戦40勝(26KO)6敗