WBSS決勝でボクシング史に残る死闘を演じた井上尚弥とノニト・ドネア。
井上はドネアに勝利し、バンタム統一に大きく前進したがコロナパンデミックが発生。
それにより当初の計画が大きく狂ったバンタム級戦線。
昨日まで各団体のチャンピオンは以下の面子だった。
WBAレギュラー ギレルモ・リゴンドー
WBC正規 ノルディーヌ・ウバーリ
WBC暫定 レイマート・ガバリョ
WBO ジョンリエル・カシメロ
この内、ノルディーヌ・ウバーリにノニト・ドネアが挑戦するWBCタイトルマッチが行われ、ドネアが衝撃のTKO勝ちでウバーリからベルトを奪取したのだ。
試合を見たがとにかくドネア強いの一言。
ウバーリも身体は絞れて精悍な感じだったが、ドネアの威圧感は半端ない。
1Rウバーリは果敢に前に出てドネアにパンチを繰り出すが、ドネアは慌てず騒がず、相手の動きを観察するような感じで時折右を繰り出すが速くていかにも重そう。
2Rも初めは両者同じような動きだったが、ドネアはゆっくりとウバーリを追い、右ストレート左フックをを繰り出しながら徐々に圧力をかけていく。
3Rになると完全にドネアのペース。
2分過ぎ、ドネアの強烈な左フックカウンターを被弾してウバーリ最初のダウン。
ここは立ち上がったが3R終了間際再び強烈な左フックを浴びて2度目のダウン。
結局ゴングに救われた形になったが勝負はこの時点で決まったも同然だった。
4Rに入ると攻勢に出たドネアの左右の重いパンチが次々とウバーリにヒット。
最後は左アッパーによりこの試合3度目のダウン。
もうウバーリに立ち上がる力は残っていなかった。
レフェリーは途中でカウントを止め、この瞬間新チャンピオンが誕生した。
共に1年半ぶりの試合。
戦前の予想はほぼ五分五分だったが、ドネアは井上戦の激闘を経験してピーク時の強さがよみがえっている印象。
フィリーピーノフラッシュ完全復活と言っても過言ではない。
さてこうなると俄然注目されるのが井上尚弥との再戦が実現するのかという点。
ドネアはそれをモチベーションとして38歳になった今に至って2度目のピークとも言える強さを見せつけた。
井上は性格上、必ず受けて立つ気持ちだろうし、そのことを表明するだろう。
しかし井上を狙う刺客は他にもいる。
まずは6月19日IBFの指名試合としてマイケル・ダスマリナスと対戦。
勝つの間違いないが、8月14日に行われるWBO・WBAレギュラー統一戦、ジョンリエル・カシメロとギレルモ・リゴンドーの結果が井上の次戦に大きな影響を及ぼす。
この試合も大変注目の一戦だが、カシメロが勝つと、井上はドネアより先にカシメロと戦う選択をしなければならないだろう。
両者の戦いはコロナ禍によりキャンセルとなってしまったが、本来ならばとっくに実現していた。
繰り返されるカシメロの挑発に対しても鉄槌を下す又とない機会だ。
リゴンドーが勝った場合もWBAスーパー王者としてレギュラー王者との統一戦というマッチメイクは十分あり得る。
ドネアにしても暫定王者レイマート・ガバリョとの統一戦を指示される可能性がある。
まだまだ流動的なバンタム級王座統一への道。
ひとつ言えることは、ノニト・ドネアの今日の強い勝ち方を見て、このドネアに勝った井上尚弥はどれだけ偉大なチャンピオンであるか。
それを再認識できた今日のドネア対ウバーリ戦であった。
WBC新チャンピオン ノニト・ドネア 47戦41勝(27KO)6敗
WBC前チャンピオン ノルディーヌ・ウバーリ 18戦17勝(12KO)1敗