10人(11人?)も世界チャンピオンがいると、ダブル、トリプル世界戦興行の連続だ。
この中で単独で興行を張れる王者は果たして誰か・・・。
今日のW世界戦、WBAミニマム級王者宮崎亮対暫定王者・同級1位ヘスス・シルベストレの統一(?)戦。
初回からショートレンジでの打ち合いが最終ラウンドまで続く戦い。
シルベストレを見ていて、ビクトル・ラバナレスを思い出した。
辰吉との死闘2番勝負は忘れる事の出来ない壮絶な戦いだった。
もちろんその試合とは比べようもないが、本来ミニマムで戦う事など無謀とも思われる宮崎が気持ちだけで戦った印象だ。
多くのパンチを当てていたが、減量によるパンチ力の低下か、シルベストレを倒すまでには至らない。
逆にシルベストレのパンチをたくさんもらったが、本来ライトフライの身体の宮崎がダメージを負うような決定的なパンチはない。
勝利への執念に優った宮崎が2度目の防衛に成功、その場でライトフライ級へ転向する事を表明した。
限界を超える減量により、ミニマムで続けても身体が持たなくなる事が予想され、転向は必然であろう。
WBA世界ライトフライ級王者井岡一翔対世界5位クワンタイ・シスモ-ゼン。
この試合を見ると井岡の持って生まれたボクシングセンスがいかに優れているかを感じる事が出来る。
防御、スピード、パンチ、ハート、試合運び、全てがしなやかでスマートだ。
今日はいつもより相手選手シスモーゼンのパンチをもらっていたが、逆にいつも以上に早くから多くのパンチを相手に見舞っていた。
パンチをもらっているとはいえ、井岡の涼しげな顔は何ら変化しない。
回を重ねるごとに確実に井岡のペースになっていく。
迎えた7R、井岡怒涛の攻撃。
花火大会のスターマインが如くの連続攻撃。
左右上下にパンチを打ち分け、シスモ-ゼン防戦一方。
最後は左の強烈なボディーを見舞って、すぐにフックをたたみかけ、たまらずシスモーゼンダウン。
ボディーを打たれまくっていたシスモ-ゼンに立ち上がる力はもう残っていなかった。
井岡は勝利者インタビューで、ライトフライで最強を証明するような意味の言葉を発していたが、宮崎の転向によりこの級に留まるかは微妙な印象。
井岡は間違いなくA級の王者であり、現国内世界チャンピオンでパウンドフォーパウンドを選ぶとしたら内山、山中と共に候補に挙がって来る選手だろう。
しかしローマンゴンザレスとの対戦を逃げたという印象がつきまとい、それを批判する声は多いようだ。
もしフライ級に転向するなら、そこで海老原、大場、ユーリを超えるような伝説を作って欲しい。
そうする事で今までの言葉の軽さを払拭して記録にも記憶にも残る選手になる事が出来るだろう。